HOME(Living Room)
研究紹介

エイズ・エピデミック

週刊医学界新聞  〔連載〕How to make クリニカル・エビデンス−その仮説をいかに証明するか?−
浦島充佳(東京慈恵会医科大学 臨床研究開発室)


週刊医学界新聞 第2495号 2002年7月22日

〔第31回〕エイズ・エピデミック(1)

21世紀 エイズの衝撃
 「エイズ感染症は最後の風土病か,はたまた大きな問題の始まりか?」はノーベル賞受賞学者であるロックフェラー大学レダ−バーグ博士の言葉です。博士の予感が 現実のものとなってしまいました。
 2002年7月2日,国連各機関で構成する国連エイズ計画(UNAIDS)は,2001年末の世界のエイズ感染に関する調査結果を発表しました。年間死者数は300万人にのぼり, 既に2000万人を超える死亡が確認されました。さらに有効な予防・治療体制を整備しなければ,2020年までに感染率が高い45か国だけで6800万人がエイズの犠牲になる と予測されています。エイズが報告されて約20年あまり,治療法も進歩し,ある程度治療法が確立してきたのもかかわらず,また,予防法も明らかなのに,その猛威は 留まるところを知りません。

グローバル化,民族の衝突,未曾有の疫病
 第二次世界大戦において多くの人々が死にました。しかし世界史において人民の移動に伴う伝染病のほうが多くの人々を死に至らしめたことは意外に知られていません。 500年前,ヨーロッパ人が南北アメリカ大陸に移住し,同時に天然痘と麻疹も運んだのです。このためカリフォルニア,メキシコ,南米の人口は100年間で50分の1に減った と言われています。逆にヨーロッパ人は当時南北アメリカに住んでいた民族から結核と梅毒をもらうはめになってしまいました。さらに,イギリスがアメリカ大陸入植の 際,天然痘を用いてインディアンを追いやり,圧倒的優位を築きました。6世紀,エジプトにはじまったペストはヨーロッパ,さらには中央・南アジアにまで拡大し,その 人口を半分にしたと記されています。14世紀にはじまった第2のヨーロッパ流行では,2−3千万人が命を落とし,ペストは「黒死病」として人々から恐れられました。 1918年,スペイン風邪(インフルエンザ)は世界に広がり,2000万人の命を奪いました。
 世界人口の約3/4は発展途上国に住んでおり,先進国と発展途上国の経済格差は人々の移動を促進します。現在日本の人口と同数の1億2000万人が母国以外の国で生活 し,何百万という人々が新天地を求めて移動しています。そして移民は感染症を運びます。日本に居ると感じ難いのですが,世界の人々は大きく入り混じりつつあります。 ある伝染力の強い感染症に対して免疫を持たない人々が暮す大都市にその感染症が持ちこまれれば,かつてヨーロッパ人がアメリカ大陸に移動した時に起こったような大量 感染死が発生しないとも限りません。いや,まさに似たような状況が再現されつつあるのではないでしょうか?

ケース・シリーズ・スタディ:その発見は数名の症例報告から始まった(1980年)
 新しい病気の発見は,しばしば注意深い症例報告から始まります。CDC(Center for Disease Control and Prevention:USA)は毎週発表する疾病罹患率と死亡率 報告の中で,1980年10月から翌年の5月にかけて,若いホモセクシャル男性5人にカリニ肺炎が発生し,うち2人が死亡したと報告しています。彼らはお互いを知らず, ホモセクシュアルであること以外,全員に共通する点を見出すことはできませんでした。そして,CDCは,通常抗がん剤投与中などの免疫抑制状態にない患者でカリニ 肺炎が発生したこと自体異常な出来事であり,全員がホモセクシュアル男性であったことから,そのライフスタイルに問題があるか,1人が感染源だったのだろうと コメントしています。そして,サイトメガロウイルスが全員から検出された事実と,サイトメガロウイルス感染が免疫低下を来たしうるという論文を引用して,「サイト メガロウイルスがこの特殊な病態の病因に1枚絡んでいるのではないか」と考察しています。実際にはサイトメガロウイルス感染は,免疫抑制の原因ではなく結果だった わけですが……。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2498号 2002年8月19日

〔第32回〕エイズ・エピデミック(2)

何かが起こりつつあるぞ――1981年
 アメリカCDC(Center for Disease Control and Prevention)は毎週発表する疾病罹患率と死亡率報告の中で,1980年の10月から翌年の5月にかけて,若いホモセク シャル男性5人にカリニ肺炎が発生し,うち2人が死亡したと報告しています。彼らはお互いを知らず,ホモセクシャルであること以外,全員に共通する点を見出すこと はできませんでした。そして,CDCは通常抗がん剤投与中などの免疫抑制状態にない患者でカリニ肺炎が発生したこと自体異常な出来事であり,全員がホモセクシャル 男性であったことから,そのライフスタイルに問題があるか,1人が感染源だったのだろうとコメントしています。そして,サイトメガロウイルスが全員から検出された 事実と,サイトメガロウイルス感染が免疫低下をきたしうるという論文を引用して,サイトメガロウイルスがこの特殊な病態の病因に1枚絡んでいるのではないかと考察 しています。実際にはサイトメガロウイルス感染は免疫抑制の原因ではなく結果だったわけですが……。「相関関係は因果関係を意味するものではない」の典型です。
 1981年7月,30か月の間にカポジ肉腫がやはり若いホモセクシャルの男性26人(20人はニューヨーク,6人はカリフォルニア)にみられ,うち8人が診断後8か月以内に 死亡したという報告がありました。カポジ肉腫は通常高齢者にみられ,50歳以下に限るとニューヨークでさえ過去11年の間に3例の報告があった程度の稀な疾患です。 しかも7人はカリニ肺炎を合併していたのです。ロサンゼルスでも先に述べた5人のカリニ肺炎の後,10人のカリニ肺炎がやはりホモセクシャル男性にみられ,うち2人は カポジ肉腫を合併していました。両疾患とも,健常人には発生し得ない病気であり,通常は癌,先天性免疫不全,移植後免疫抑制状態などのような特殊な病態下でのみ 発生するものです。
 しかし,それ以外カポジ肉腫が流行したことが一度だけありました。それは1960年前後の中央アフリカのことです。この時は子どもや若い男性がカポジ肉腫に罹患し, その土地の癌の9%を占めるに至ったことがあります。今回も20代から30代前半の若い男性を中心としており,しかも進行が急です。しかし,性との関連は今まで論じられた ことはありませんでした。この報告をCDC職員は「何か重大な異変が起こりつつある」と受け止めながらも,ホモセクシャル男性をキーワードに調査を開始してしまったの でした……。
 実際には,ホモセクシャルは原因ではなく,交絡因子であったわけです。CDCのような疫学プロ集団であっても,最初にインプットされた先入観がその研究デザインや 場合によっては結果までにも影響することが理解できます。そして,このことが,結果的にはエイズ予防策の遅れを招き,現在の地球規模の問題を引き起こす一因となって しまったのです。
 CDCは直ちに関係医療機関に対して電話,手紙等で調査を行なっています。1981年に早速,特に発生の多かったカリフォルニアとニューヨークからの報告がニューイング ランド・ジャーナル・オブ・メディスンに連続して掲載されています(NEJM 1981; 305:1425−44)。カリフォルニアからの報告では4例のホモセクシャル男性にカリニ肺炎 が発生し,全例でヘルパーT細胞数の低下をはじめとする免疫異常,サイトメガロウイルス抗体価が非常に高値であったことを指摘しています。さらに,ホモセクシャル 男性でサイトメガロウイルス抗体価陽性者が多いことから,ホモセクシャル男性の精液に分泌されたサイトメガロウイルスに暴露されることによって発生する免疫不全で あると結論しています。サイトメガロウイルスがその病原性において変容をきたしたのかもしれないと憶測したからです。
 これに対してニューヨークからの報告では,11人のカリニ肺炎を報告し,ホモセクシャルは6人であり,検査した5人のホモセクシャルのうち僅か2人がサイトメガロ ウイルス抗体陽性であったことより,サイトメガロウイルス病因説には否定的意見を示しています。さらに彼らはホモセクシャルと薬物乱用者がハイ・リスクであること を指摘しつつも,これが原因であるとはしていません。なぜならすべてのケースにあてはまらないからです。私たちはクリニカル・エビデンスを読む際,それが虚である のか,実であるのかを見極めることを要求されます。権威ある雑誌に掲載された論文が必ずしも正しいとは限らないのです。

必要な原因と十分な原因
 病気の原因を「必要な原因」と「十分な原因」に分けることができます。必要な原因は常に存在していなくてはなりません。エイズに罹患するにはエイズウイルスの 感染が必要なのです。しかし,ホモセクシャルや薬剤乱用は必ずしも要るわけではなく,十分な原因であっても,必要な原因ではありません。例えば「Aさんがエイズに なったのは,針を変えずに薬物を使用したことによりエイズウイルスが感染したのが原因である」と言及することができます。これをみても明らかなように,病気の発生 にはいくつかの原因が同時に存在してもよいのです。むしろ,そのような場合のほうが多いかもしれません。また,感染症以外では,必要な原因がみつからないことの ほうが多い点も覚えておいてください。例えば喫煙はあくまで肺がんの十分な原因であって,必要な原因ではありません。
 しかし,原因であるのか,結果であるのかを明確にすることは大切です。少なくとも原因が結果に先んずるはずです。よって,ケース・シリーズ・スタディで,ある 2つの因子が存在する場合の推論には注意が必要です。例えば,免疫不全とサイトメガロウイルス感染が同時に認められたことに対してどちらが原因だったかは時間経過を 追った研究に委ねることになります。アンケート調査でも,原因と結果の区別ができない点が弱点で,推論し過ぎないようにしなくてはなりません。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2502号 2002年9月16日

〔第33回〕エイズ・エピデミック(3)

CDCによるサーベイ(1982年)
 CDC(米国疾病管理センター)は関係者とコンタクトをとり,一連の患者発生の真相究明に乗り出しました。そして1979年以前,1例を除いて基礎疾患のない人にカリニ 肺炎あるいはカポジ肉腫の発生を認めていないことを確認し,1980年より増加しはじめた免疫不全症は明らかに異常事態であると判断したのです。
 さらに,CDCは159人の解析結果より以下のようなコメントを発表しています。
(1)カリニ肺炎とカポジ肉芽腫は同じ地域の若いホモセクシュアル男性間に流行したことにより,同一原因による免疫不全によって引き起こされたと考えられること。
(2)われわれは氷山の一角しか見ていないであろうこと。
(3)免疫不全患者でサイトメガロウイルスが再活性化することはしばしばあり,サイトメガロウイルスがこの免疫不全の病因であるとは考えにくいこと。
(4)吸入亜硝酸塩がホモセクシャルの間で流行しており,これが病因に関係するかもしれないこと。あるいはこれはセックス・パートナーの数と比例するので,コンファ ウンダーである可能性も高いこと。
 以上のことを指摘しています。
 結局サーベイにしても,症例報告にしても時間的前後関係が不明ですから,どちらが先でどちらが後かわかりません。サイトメガロウイルスはよい例で,免疫不全に なったからサイトメガロウイルスが活性化されたのか,それとも逆なのかです。また,吸入亜硝酸塩のようなファクターも影を見ているのか,実態を見ているのか,判別 がつきません。
 ましてや,性にかかわる部分であり,研究者はデータを正確につかみにくいところでしょう。疫学調査からは,ハイチ人,血友病を含む輸血レシピエント,乳児,エイズ 感染者と関係を持った女性,囚人,アフリカ人など諸々のリスク・ファクターが浮かび上がり,より一層真実を見えにくくしていったのです。

疾患A急増の事実関係を判定する
 例えば,ある地区で毎年決まって3人程度の発生をみる疾患Aがあるとします。非常に致死率の高い原因不明の風土病で,今年は7人の患者が発生しました。警鐘をならす べきでしょうか?
 稀な疾患の場合,poisson分布を用います。その利点はいちいち何人中何人の発生頻度といったことを考えなくてすむ点です。
という計算式が成立します。つまり6人を超えたら警鐘をならすべきです。しかし,このpoisson分布には2つの条件設定が必要となります。すなわち,独立仮説と静止仮説 です。例えば伝染病流行のような場合には,Aさんの感染症になる確率は一緒に働いているBさんが感染症になると変わってしまうため,独立仮説に抵触しますし,時間の 経過とともに疾患発生頻度が上がるような場合も用いることはできません。よってエイズでpoisson分布を用いることは不適切であり,小児白血病が感染症の要素に影響 されるとしたら,やはりこれに対しても不適切となります。

ケース・コントロール・スタディ
 CDCはエイズに進展するリスク・ファクターを同定するため,ケース・コントロール・スタディを考えました。50人のホモセクシュアルのエイズ男性1人ひとりに対して 4人のホモセクシュアル男性で年齢,人種,住居でマッチさせ,コントロールとしました。稀な疾患の臨床研究のためにはケース・コントロール・スタディが好んで用いられ ます。また,マッチングすることにより交絡因子の影響を排除することができます。3人のうち2人は性感染症クリニックから,1人は開業医リストから選択しました。
 結局1年間のセックス・パートナーの数が61対26とエイズ患者で格段に多く,エイズ患者で梅毒やB型以外の肝炎罹患率,吸入亜硝酸が高くなっていました。これは性的 刺激剤として用いられ,頻繁に用いると免疫抑制作用を発揮するために,エイズの病態を説明するには十分でした。しかし,これを使用していないエイズ患者も多く, やがて原因物質の候補の中から姿を消していきました。いくつかの因子の中で最も強い関連を示したのがセックス・パートナーの数でしたが,薬物乱用など他の因子との 関連も否定できない,と結論しています。
 当たらずとも遠からず,です。私たちは正解を知ってこの論文を興味深く読むことができますが,当時の疫学者は,まだホモセクシャルにとらわれすぎていました。他人 の精液に頻回に暴露されることがいけない,さらには「罰が当たったのだ」という人まで出る状況でした。もしも,コントロールがヘテロセクシャルの男女であったとした ら,男女間でも感染し得ることを早期に発見し,予防手段を講じられたかもしれません。マッチングは確かに強力な疫学手法ですが,あまり原因に近い因子でマッチングして しまうと,大切な事実を見落としてしまいます(オーバーマッチング)。

プロスペクテフィブ・スタディ
 ケース・コントロール・スタディでは決定的な因子をつかめませんでした。前向きコホート研究のほうがバイアスを減らして真実をつかめるかもしれません。 サンフランシスコの性感染症クリニックを訪れた男性ホモセクシュアル患者6875名を対象に経過観察し,1984年までに166名(2.4%)のエイズ患者発生をみています。 しかしより詳細に検討してみると,21%は病因の不明であるリンパ節腫脹を認めました。結局,エイズは新しい疾患であり,ある地域での蔓延が著しいという結論しか 得られませんでした。ここでもホモセクシュアル男性に的を絞ってしまっています。

エイズの伝播経路
 1983年秋までに2259例を超えるエイズ疑い患者が報告されました。その後1984年,輸血や血液製剤,あるいは母子垂直感染が伝播経路として判明しました。さらに, エイズ男性のセクシャル・パートナーであった7人の女性を調査し,6人がエイズに合致する症状,ないしは検査所見を呈していたのです。これらの女性は輸血も血液 製剤も投与されておらず薬物乱用者でもないことを考えると,男性から女性への感染もあり得ることを示唆しています。
 また,ハイチで認められたエイズでは男女比がほぼ1対1だったのです。それまで,ホモセクシュアルの病気のように世間に認識されてきた疾患が,実は男女間でも十分 感染し得ることがやっとわかったのです。しかし,多くの研究者はエビデンスから警告を発することをためらいました。ハイチの問題もブードゥー教が原因であろうと 片づけてしまったのです。誰しも自分の想像するほうに結果解釈を近づける傾向にあります。あるいは,通説に反するには勇気がいるのかもしれません。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2505号 2002年10月7日

〔第34回〕エイズ・エピデミック(4)

やっとエイズウイルスが発見される(1984年)
 1970年代,猫に免疫不全と白血病・悪性リンパ腫を引き起こすウイルスが知られていることから,「エイズも逆転写酵素を持つレトロウイルスが関与しているのでは ないか」という憶測はありました。1984年になってエイズウイルスが多くの研究所よりサイエンス誌に相次いで報告されました。そして,臨床的にもこのウイルスが エイズの原因であることが証明されたのです。最初の報告がなされてから僅か3年,しかも数例ずつの単純な症例報告とサーベイの結果を中心として知見を蓄積しつつ, 一応の結論に至っています。
 通常であれば,ダブル・ブラインド・プラシーボ・コントロール・クリニカル・トライアルか,相当しっかりした観察研究しかアクセプトしないニューイングランド・ ジャーナル・オブ・メディスンやランセットが,事の重大性をいち早く認識して症例報告やサーベイ結果を掲載しました。これは画期的なことであったと思います。逆に トップジャーナルにアクセプトされる基準は科学的方法に拠ることも重要ですが,最も大切なのは内容が強いインパクトを持っているといえるでしょう。

ストップ・エイズ
 病原ウイルスを発見することより,エイズの伝播を止めることが最優先です。エイズウイルスが感染すると2−3週間の期間を経て無症状の感染期間に移行します。この 期間はおよそ10年と言われ,その後免疫不全の症状を呈し,1−3年で死に至ります。
 エイズ問題はレーガン政権の時に発生しました。レーガンの政策は「セックスについては語らず,ワクチンができるのを待とう」というものでした。ですからアメリカ 公衆衛生局のクープ博士もテレビに出演した際に,「コンドームという言葉を使用するな」と釘をさされ,「セックスの回数をなるべく減らすように」というに留まり ました。エイズが広がりだした極初期,友人をエイズで亡くしたり,報道などを耳にすることにより,人々の行動は徐々に変化していきました。しかし,その変化はあくまで 緩やかなものでした。
 もしも,事の重大さを強調し,最初からコンドーム着用を徹底させる政策をとっていたらどうなっていたでしょうか? 今ほどの犠牲者を出さずに済んだかもしれま せん。
 1980年代後半よりタイは年間8−10%の経済成長を遂げていました。しかしタイの人々はエイズの脅威に曝されます。1980年代後半,アメリカ海軍駐留兵,薬剤使用者, セックスワーカーの間でエイズが蔓延し,感染率は35%にまで上りました。続いて男性が8%,そしてタイの病院にはエイズの子どもがあふれました。しかしタイ政府は アメリカ政府とは対照的に早期対策に打って出たのです。テレビを通したコンドーム使用の徹底的キャンペーン,そして1年で7千万個のコンドームを無料配布したのです。 NGOもこれらの政策をサポートしました。このコンドーム使用キャンペーンにより性感染症は80%減少し,若い兵隊のHIV陽性率も7.5%から3.4%にまで減少しました。 しかしエイズにより多くの出費があり,しかも働き手を亡くした家族は貧困に喘いでいます。タイのGDPは3/4まで減少したと言われています。しかしエイズコンドーム 使用キャンペーンを行なっていなかったら,国の存続すら危うかったかもしれません。

観察研究から臨床試験へ
 現在のエイズ治療に落ち着くまで,実に多くの薬が試されました。うわさで「あれが効く」と聞けば,患者さんは「藁をもつかむ」思いで試したのではないでしょう か? そしてほとんどの薬はランダム化臨床試験で無効であることが判明し,姿を消していったのです。中には人の弱みにつけ込んだ悪徳商法もあったことでしょう。 しかし原因ウイルスが同定されてからは,その増殖機序にターゲットが絞られます。そして,1986年NIH(米国立衛生研究所)によりエイズ臨床試験のグループ(ACTG)が 組織され,製薬会社バックアップのもと,本格的臨床試験が推進されたのです。
 ACTG発足以前は一切有効なエイズ治療薬が発見されませんでしたが,1987年にはAZTが初めてエイズの治療薬として認可されました。しかし,患者さんたちは「この薬は NIH,製薬会社,医者連中の面子を保つためにでっち上げられた薬だ」としてAZTをいぶかり,「われわれはAZT治療のモルモットにされて死んでいった仲間を知っている, だまされるもんか!」として,新薬を受け入れませんでした。このような医療不信は,臨床試験,さらには新薬開発を大いに遅らせてしまったのです。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2506号 2002年10月14日

〔第35回〕エイズ・エピデミック(5)

エイズ数学モデル
 1990年代に入るとエイズの病態解明が進みます。エイズウイルスは体内のCD4陽性リンパ球に感染し,細胞内で増殖,これを破壊し血中にばらまかれ,再度CD4陽性細胞に 感染します。AZTは抗エイズ薬として臨床的に最も有効な薬ですが,ウイルス量をあまり低下させることができません。その後,蛋白阻害剤等が開発されましたが,この後 続薬はウイルス産生を抑え,CD4陽性細胞の増加を導きます。ホー博士らは,ウイルスRNA量と感染CD4陽性細胞の推移を追うことによって,エイズの病態生理に関する数学 モデルを発表しました(Nature 1995:372;123,Science 1996:271;1582)。このエイズ病態を数学的に捉えるという斬新な発想,これは相関や有意差に固執していた 従来の古典的生物統計学に対して非線型モデルという新天地を切り開いたものでした。新しい発想がすんなりと受け入れられるアメリカ。当然のごとく,ホー博士はタイム 誌の「1997年時の人」に選ばれました。
 エイズの患者さんに対して治療を開始すると,ウイルス量が2.1日で半分になることがわかりました。また,1日当たりリンパ球は1.8×109新しく作られており,エイズ ウイルスは10.3×109個作られていることもわかりました。CD4細胞から血中に放出されたウイルスの平均寿命はおよそ0.3日(半減期0.24日)であり,感染CD4細胞の平均 寿命はおよそ1.3日です。CD4細胞が崩壊してウイルスを血中に散布し再びCD4細胞に感染,そして再びウイルスを血中に放出するまでの時間は2.6日です(図1)。
 その結果,HIVは年間およそ140回細胞内で増殖し細胞を破壊するサイクルを繰り返します。潜伏期間が10年とすると,1400サイクルとなります。そして,ウイルスが細胞 内でRNAよりDNAに変換される際,1塩基対あたり10−4の確率で突然変異を起こすと推定されています。もしも,エイズ患者さんの体内に1010のウイルスが潜んでいるとすれ ば,毎日1−2個の変異が生じていると考えられ,ウエイらによれば,2週間で薬剤耐性を獲得すると計算できます(Nature 1995:373;117)。
 以上の論理により,細菌の薬剤耐性獲得機序とは異なり,エイズは仮にAZTを投与しなくとも突然変異を起こしやすいことが理解できます。よってエイズウイルスは同じ 固体内にあっても非常にヘテロな集団であると考えるべきなのです。
 そのことを考慮すれば,当然多剤併用療法が基本となります。近年「ウイルスの毒性が弱まってきているのではないか?」とする考えもあるようです。しかし,ウイルス の立場からすると宿主が死亡すれば自分からも繁栄することができないわけで,進化したウイルスであれば,宿主と共存できるように変貌していくはずです。ですから急速 に変更を繰り返すことにより,弱毒化する可能性は十分あるのです(図2)。
 最近は多剤併用療法により治療成績も向上しつつありますが,完全とは言えません。なぜならエイズウイルスはリンパ節や脳組織,マクロファージなど比較的長期に生存 する細胞にも住みつくため,そうは簡単に駆逐されないからです。理論的には長期生存する感染細胞の寿命がつきるまで薬剤を使い続ければ,ウイルスを駆逐できるはず です。
 ホー博士らは上の数学モデルに基づいて長期生存細胞の寿命を1年と設定しました。ところが,エイズ患者さんの体内からウイルスRNAが1年間検出されなかったため治療 を中止したところ,すぐに血中にウイルスが出現してしまったのです。彼らのモデルはエイズウイルスの行動を正確に予測するには至らなかったことになりますが,現在 highly active anti-retroviral therapy(HAART)はエイズ患者さんの入院を50%,死亡を30%減らしたと言われています。

エイズ治療成績の飛躍的な進歩
 いずれにしても,蛋白阻害薬の他,作用機序の異なる新薬の登場により,その治療成績は飛躍的に進歩しました。アメリカでは年間エイズ発生が1992年をピークに, エイズによる死亡も1995年をピークに減少しはじめました。1980年代,この医学の進歩を誰が予測したでしょう。しかし,全世界のエイズ患者数はまだ増えているのが 現状であり,楽観はできません。
 FDAによる新薬認可までの期間も1986年当時平均34.1か月であったものが,1999年時点では12.6か月にまで短縮されていました。もちろん十分な臨床試験によってリスクと ベネフィットの調整が図られなくてはなりませんが,事務的な問題で新薬販売が遅れれば,助けられる人をみすみす失うことになりえるからです。特にエイズのような致死 的疾患はなおさらです。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2509号 2002年11月4日

〔第36回〕エイズ・エピデミック(6)

エイズ・エピデミック
 感染症疫学において,アウトブレイクとエピデミックの定義はなされていません。しかし,局地的伝染病の流行をアウトブレイクとし,もっと大きな規模のものをエピ デミックとしているようです。ですから,ロスとニューヨークでエイズ患者が多発した時期はアウトブレイクであり,今はエピデミックの状態にあります。
 エイズ治療に明るい兆しが見えてきたと同時に,世界で3600万人以上の人がエイズに感染し,2000万人以上がすでに死亡したという衝撃的事実が2002年になってWHOに より報告されました。年間の新規感染者は500万人に達し,そのうち女性は200万人,15歳以下の子どもは80万人もいました。このことは,毎日,1万4000人ものエイズ患者 が発生していることを意味します。14世紀の黒死病もおよそ2500万人を死に追いやったと言われています。エイズの問題はまさにこれに匹敵するといえましょう。いや, それ以上かもしれません。20世紀初期,スペイン風邪(インフルエンザ)の時もやはり死亡は2000万人以上であったと言われています。
 エイズ患者の70%はアフリカ南部(サハラ砂漠以南)であり,一部の地域では成人のHIV陽性率は4人に1人に及びます。また,ラテンアメリカ(150万人),東南アジア (560万人),旧ソビエトなどでも患者数が増加しています。中国でも感染者は前年比67%増の85万人に及んでいます。人口が多い国だけに,今後が心配です。つまり, 先進国で始まった現代の疫病は,発展途上国へと広がっていったのでした。
 しかし,最も大きな問題は,治療費が非常に高いことです。エイズに対してベストの治療を施すならば,年間1人あたりおよそ1万ドルかかります。これを続けられる人 は先進国でも少ないことでしょう。ましてや1日1ドル以下で生活する人の多い発展途上国では不可能です。このような現状を受けて,一部の製薬会社はアフリカなどの薬 を原価に近い価格で販売すると申し出たり,一部の国ではパテントを無視してゾロの薬品販売に踏み切りました。
 このような動きから薬価は下がりつつあるのですが,それでも年間数百ドルはかかり,アフリカ政府は世界からの申し出を受けられないでいるのが現状です。仮に1人 年間千ドルかかり,100万から300万人が治療対象とすると,10億から30億ドルを必要とします。このように,未だ現実との大きなギャップがあります。しかし,世界の エイズエピデミックを今止めないと,本当に大変なことになってしまいます。

血液製剤の問題
 1982年7月,3人の血友病患者に免疫不全の病態がみられたことをWHOは報告しました。血友病製剤は何千という献血ドナーの血液から精製されるため,当然リスクは高く なります。1982年においては,エイズのウイルスもわかっておらず,伝播経路も十分理解されていなかったわけですが,それでも血液で感染することは十分考慮されたで しょう。
 しかし,日本だけではなくアメリカにおいても血友病の専門家はこの可能性を過小評価してしまったのです。当時の血友病専門家は血友病製剤によって患者生活の クオリティが上がるのを目の当たりに見てきたわけで,彼らの血友病製剤に対する信頼の高さが正しい判断を鈍らせてしまったかもしれません。1985年3月にエイズ・ ウイルスのスクリーニング検査が可能になりましたが,それ以前にでもリスクの高いドナーを避けるなどの対策を講じていれば,より被害者は少なかったことは事実 でしょう。日本だけでなく,アメリカにおいても多くの血友病患者が犠牲となりました。しかし,日本の対応は昔のサリドマイド事件,今の狂牛病問題の時と比較して, 改善しているようには見えません。

エイズ垂直感染を断つ
 エイズの伝播経路は,性的接触などによる水平感染と,母子間の垂直感染があります。母親がエイズであった場合,その子どもに15−40%の確率で伝染すると言われて います。これをAZT(zidovudine)でブロックしようという臨床試験が行なわれました。この時期,AZTはある程度エイズに有効ということはわかっていましたが,多剤 併用療法が行なわれるまで,絶賛できる治療というわけではありませんでした。さらに,妊婦に投与して,胎児に奇形を発生するかどうかについてはやってみないとわかり ません。ラットで致死量を内服させると奇形を発生するリスクが上がるという報告もあり,著者らは,妊娠前半のAZT服薬は避けました。そして,1991年4月から,1993年 12月まで多施設共同で臨床試験が進められたのでした(New England Journal of Medicine1994: 331; 1173)。
 「ランダム化プラシーボ・コントロール臨床試験」は,あたかも臨床研究の究極の方法のように扱われています。確かにケース・コントロール研究やコホート研究に代表 される観察研究の欠点を補うことができます。しかし,倫理性,実行可能性,外的妥当性といった種々の問題を含みます。
 結局180人がAZT群に,183人がプラシーボ群に振り分けられました。そして,AZT群では13人が,プラシーボ群では40人の乳児がエイズとなりました。カプランマイヤー 生存曲線において18か月の時点で評価をすると,AZT群では8.3%,一方プラシーボ群では25.5%であり,すなわちAZTは垂直感染を67.5%ブロックしたことになります。 そして,AZT群とプラシーボ群の生存曲線の統計学的な差はp=0.00006 でした。
 児の奇形の頻度は,両群で同数であり,生後まもなくの死亡はこれらの奇形によるものであり,心配されたAZTの悪影響はなさそうでした。これが,単純な観察研究 あるいはプラシーボなしの介入研究だったら,AZTが有効という結論は下せても,AZT内服が奇形に関係ないと結論できなかったかもしれません。すなわち,AZT妊婦投与 が正当に評価されず,世に出るのが相当遅れたことでしょう。
 最近の母子感染防止策として,妊婦にはAZT投与をする他,妊娠末期RNAコピー数が1000倍以上と高い場合には,帝王切開を行ないます。そして母乳栄養は断ち,6週間, 児にもAZTを与えます。

(この項つづく)



週刊医学界新聞  第2514号 2002年12月9日

〔第37回〕エイズ・エピデミック(7)

臨床試験の倫理性
 この論文(New England Journal of Medicine1994: 331; 1173)は,2002年6月の時点で115の論文に引用されていました。そして,“めでたし,めでたし”となるはず の論文だったと思います。しかし,倫理的に重要な2点で疑問が残りました。1つは,プラシーボ群でエイズに感染した児が40人もいたことで,この犠牲者をもう少し減らす ことはできなかったのかという点です。
 最初の中途解析を1993年に行ない,差がでていたので中止したと記しています。当初3年間患者をリクルートして,生後78週まで経過を追うものでした。しかし,3年弱の 時点で行なった最初の中途解析で,あまりにも歴然とした差がついてしまってあわてて中止したのでしょう。最初の予想を上回る好結果だったとも想像できます。もしも, 263人全員がAZT治療を受けていれば,計算上21.8人がエイズとなるだけなので,実際の53人より31人少なかったことになります。もちろん,臨床試験開始時,AZTが垂直 感染をブロックすることを期待しつつも,誰もどの程度ブロックするか知らなかったわけですから,やむを得ない問題ともいえます。しかし,それにしても,もう少し 犠牲者を減らすことはできなかったのでしょうか?
 ある人は,中間解析をもっと早い時期に行なうべきだったと指摘するでしょう。これも正当な意見です。しかし,中間解析の回数が多ければ多いほど,タイプIエラー (本当は2つの治療効果が同じなのに異なると結論してしまうこと)を起こしやすくなるのです。ですから,臨床試験をモニター解析する統計学者はできるだけ中間解析を 減らそうと考えます。特に,臨床試験初期はゆらぎが大きく,本当は両治療群間で差がないのに差があると誤った結論を下しやすいのです。この臨床試験の場合,研究計画 立案の段階でこれほど差が開くとは思っていなかったのでしょう。
 この論文発表の2年後,ハーバード大学生物統計部のウエイ教授らが,“play the winner rule”によりランダム化した場合のシミュレーション結果を報告しています。 Play the winnerとは,例えば袋に赤白1つずつの玉が入っているとします。最初の患者が赤い玉を引いてAZT群に振り分けられ,エイズにはならなかったことがわかると, 赤い玉を2個戻します。エイズになったら1個戻すだけです。これにより,結果の良い群を引きやすくなり,結果の悪い群に振り分けられる人の数が減っていきます。彼ら は,実際のデータを持っていますから,それでシミュレーションしてみたのです。つまり,赤白の玉を引いた後,赤であれば8個の黄色い玉と92個の緑の玉の入った袋から 玉を1つ引きます。そして,緑色であればエイズにはならなかったことを意味するので,赤い玉を2個最初の袋に戻し,黄色であれば,エイズにかかったことを意味するので, 赤い玉を1個最初の袋に戻します。一方,白い玉を引いた人はプラシーボなので,25個の黄色い玉と75個の緑色の玉の入った袋から玉を1個とりだして,また元に戻します。 この操作を繰り返したところ,実際よりも11人もエイズ患者が少ないことが予想されました。さらに,結果が出るごとに玉の比率を変えるのは非現実的であるので,半年 ごとの結果に基づきAZTとプラシーボのランダム化比率を変えたとするシミュレーションを行なっていますが,それでもエイズ犠牲者を9人も少なくすることができると主張 しています。この方法ではパワーが落ちるという欠点があることが指摘されていますが,計算してみますとせいぜい数%のパワーロスですんでいました。
 ランダム化臨床試験において,2群間の開きがまったく想像つかないような場合,そして,結果が致死的であるような場合,このplay the winner ruleは効果を発揮する ことでしょう。

もう1つの倫理的問題点
 エイズの伝播を食い止めるには,水平方向と垂直方向のダブルブロックが有効です。両者の決定的違いは,水平方向では一生多種薬剤を飲み続けなくてはならないのに 対して,垂直感染では妊娠中から出産後しばらくまでで済んでしまいます。そして,前者では発症を遅らせる程度の効果しか得られませんが(それでも画期的),後者では 病気を完全にブロックし,児を救うことができます。有効性に加えて,内服期間が違いますから,経済的コストも違ってきます。事実,WHOはエイズ薬を必要とする600万人 のうち,実際に薬剤を使用している人はわずか5%未満と推定しています。このことから,両親をエイズで亡くす孤児が増えているのです。そして,エイズ治療薬は,この ような不幸な子どもたちの数をむしろ増やしてしまっているかもしれません。
 1990年,アフリカ孤児の親の死因でエイズの占める割合は16%でしたが,2010年には68%に上ることが予想され,アフリカ11か国では,2010年までに約4人に1人の子ども が少なくとも片親をエイズで亡くし,最もエイズ被害の大きい南アフリカで,両親ともに失う孤児の数は200万人から340万人になるだろうと試算されています (http://www.synergyaids.com/)。このような国はアフリカだけではなく,南米,アジア,旧ソビエトにも及びます。米国 国際開発庁は,「2010年には,34の発展途上国で4400万人の子どもたちが片親ないし両親を失う」と予測しています。

貧富の差
 最も憂うべき問題は先進国と発展途上国の間の貧富の差です。例えば,先の治療(母子感染予防)が功を奏してアメリカでは確実にエイズの子どもの人数が減っています。 しかし,世界レベルでみると,エイズの子どもの数は増え続けています。WHOと国連エイズ共同計画(UNAIDS)によれば,「2001年には15歳未満において,80万人が新たに 感染を受け,270万人がエイズウイルスに感染し,58万人がエイズで死亡」しています。この差は国の間の貧富の差からくることは明らかです。薬価が下げられたとはいえ, 1日1ドルで生活している人たちが多い国がどうやってエイズ薬を買えるのでしょうか。そして,エイズによる打撃は健康面だけに留まらず,国益をも損ね,一国を押し潰して しまうかもしれません。
 国連アナン事務総長は,エイズ基金として先進国に毎年10億ドルずつの拠出を求めています。かつて感染症が多くの人の命を奪いました。アメリカ同時多発テロや阪神 大震災における死亡は数千人ですが,感染症による死亡数は2桁も違います。巨額の資金援助が必要なのは理解できます。
 NGO(非政府組織)は5500万ドルを投じて22の発展途上国に対して62のプロジェクトを走らせました。これらは医療機関を援助するものではなく,家族や地域を支える ものでした。孤児の数を考えると,焼け石に水かもしれませんが,長い目で見ると,地域で孤児を救うシステムを構築することは,単に大金を投じるより大切なことなの かもしれません。
 例えば1996年にジンバブエで始まった15人のボランティアによるプログラムは815人の孤児を支援していましたが,今や385人のボランティアで6000人の孤児の衣食住や 教育などを含む世話をしています。このような地域を主体としたプログラムに効率的に資金援助して,エイズ基金を効率的に活かし,その輪を広げることが重要でしょう。 臨床試験は生物統計学的に確立された手法であり,観察研究よりは単純かつ信頼できます。しかし,この手法により証明された治療法が人々に適応されなければ意味が ありません。

(この項おわり)


血友病  ◇研究紹介  ◇年表  ◇50音順索引  ◇人名索引  ◇リンク  ◇掲示板

HOME(Living Room)