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フィブリノーゲン
fibrinogen


◇C型肝炎感染 厚労省、医療機関などに問い合わせ殺到
 三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)の血液製剤フィブリノゲンによるC型肝炎感染問題で、同製剤の納入先が9日に公表されたことを受け、厚生労働省や東京都、 大阪府、各地の医療機関などに10日朝から問い合わせが殺到。厚労省では用意した問い合わせ専用の電話回線がパンク状態となるなど、潜在的な肝炎感染被害の広がりを うかがわせた。

■ 厚生労働省
 厚生労働省は血液製剤フィブリノゲンの全納入先を公表したのを受け、庁舎6階会議室に電話相談窓口(03・3595・2297)を20回線分設置した。ニュースが 流れた9日夕方以降、問い合わせが殺到。すべての回線がふさがることもあった。10日朝からは、相談窓口だけでは対応できず、血液対策課など関係課にも、相談の電話が ひっきりなしにかかっている。
 厚労省によると、「自分が受診した病院が納入先病院に入っているか」「C型肝炎の検査はどこで受けられるか」「C型肝炎を治すにはどんな薬があるのか」などの問い 合わせが多く、中には「なぜそんな危険な製剤が使われたのか」として、製造承認した国を批判する内容もあるという。

■ 東京
 フィブリノゲン製剤が納入されていた医療機関が568と自治体別で最も多い東京都は、都庁に相談専用ダイヤルを開設した。10日午前9時の受け付け開始から電話は 鳴りっ放しで、5回線あるダイヤルはパンク状態となり、相談件数の集計も追いつかないほどだという。
 都福祉保健局感染症対策課は「公表された医療機関で受診したことのある人から、自分が投与されたかどうかを知りたいという相談が多い。医療機関に問い合わせて、 確実に投与されていたり、不明の場合は検診を受けるように対応している」と話している。
 都内の主な医療機関にも問い合わせが続いた。国立国際医療センター(新宿区)では、約10件の電話があった。女性からの問い合わせが中心で、「自分に使用されて いないかどうか」という内容がほとんどだった。同センターでは、相手のカルテを調査し、折り返し返答すると答えていた。妊産婦や小児が受診する母子愛育会総合母子保健 センター(港区)でも、10件ほどの問い合わせがあり、職員が対応。感染の有無についての質問に、心配ならば検査をするように進めた。また、慶応大学病院(新宿区) でも約10件、東大付属病院(文京区)でも4件の問い合わせがあり、保健所で検査するように進めるなどした。

■ 大阪
 大阪府には9日に111件の電話相談が寄せられた。10日は朝から電話が鳴りやまず、当初8回線だった電話を急きょ2回線増設したほか、関係課の4回線でも対応に あたっている。府は「過去に手術をした人の不安が大きく、検査場所の問い合わせが多い」と話す。
 大阪市保健所感染症対策課では、10日午前9時に相談を受け付け始めてから2時間で約60件の電話があった。ほとんどが出産経験のある40〜50歳代の女性で、 「出産の際、出血が多かった。投与されていないか心配だ」などの内容だという。

■ 弁護団
 国や製薬会社を相手取り、感染被害者らが東京など5地裁で損害賠償を求めている薬害肝炎訴訟弁護団も電話相談を始めた。東京弁護団の中川素充弁護士は「国は肝炎 対策をきちんとやっていると説明してきたが、これだけ不安に思う人がいるのは、いかに不十分だったかの証拠。相談者に誠実に対応し、医療体制の充実を図るべきだ」と 話している。

◇専門家で検討会 厚労相
 尾辻秀久・厚労相は10日の閣議後会見で、フィブリノゲンによるC型肝炎に限らず、肝炎全般の検査を国民が受けやすくするため、専門家による検討会をつくり、来夏 までに結論を出したいとの考えを明らかにした。

「フィブリノゲン」納入先医療機関一覧
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/etc/HCV/

毎日新聞 2004年12月10日 13時29分

C型肝炎



■ C型肝炎―ともかく検査を受けよう
朝日新聞ニュース速報 2004-12-10-00:14

 6千余りの全国の医療機関の名前が延々と並んでいる。
 けさの朝日新聞に掲載されたリストを見て、ぎょっとした人も多いのではないか。
 これらの病院や診療所は、C型肝炎ウイルスに汚染されたフィブリノゲン製剤を使った可能性がある。厚生労働省が公表し、感染のおそれのある人にウイルス検査 を呼びかけている。
 フィブリノゲン製剤は血液からつくられる白い粉末で、出産や手術の際に出血を止めるために使われてきた。原料の血液にウイルスが混じっていると、製剤も汚染 された。
 リストに載っている医療機関で出産したり手術を受けたりした人は、念のため、検査を受けた方がいい。
 C型肝炎ウイルスに感染すると、初めは症状がなくても、10〜20年たつうちに、肝硬変や肝がんに進むことがある。検査してできるだけ早く発見し、治療を受ける ことが大切だ。放っておけば、症状は進む。時間との戦いである。
 このウイルスは輸血や注射針の使い回しなどでも感染した。国内で感染者は100万〜200万人いるとみられる。
 厚労省は血液製剤のウイルス感染が明らかになったのをきっかけに、02年から住民検診などに取り入れてウイルスの検診態勢を整えてきた。しかし、受診率は3割 ぐらいと低く、まだ見つかっていない感染者も多い。
 国や自治体はもっと積極的に受診を呼びかけ、検査の徹底を図ってほしい。
 治療法は大きく進んでいる。最近も、効き目が高く、副作用も少ない新型のインターフェロンが認可された。少なくとも7割、ほかの薬と組み合わせてうまく治療すれば、 8割以上の人で、ウイルスをなくすことができるという。
 しかし、新型が認可されたのは、特定のタイプの肝炎患者に限ってのことだ。欧米ではすでに広く使われて効果を上げている。日本でももっと広い範囲の患者に使える ようにすべきだ。
 それにしても、膨大なリストを見て改めて驚くことがある。
 フィブリノゲン製剤には当初から有効性に疑問の声がありながら、これだけ多くの医療機関に納入されていた。84年から有効性の再調査が始まり、原則として出産や 手術で使わなくなったのは14年後、98年のことだった。
 C型肝炎ウイルスが混入した疑いが出て、90年代には検診を求める声が上がっていた。手を打つのが余りにも遅い。
 今回、膨大なリストを公表しなければならなかったのは、カルテの保存期間が5年と短く、投与された患者を追跡できなかったからでもある。昨年から保存期間は 20年に延びたが、これからは病院の統廃合も増え、カルテが行方不明になりかねない。
 手術を受けたら、患者もカルテをもらって保存した方がいい。治療や薬で将来、どんな影響が出ないとも限らない。自分で自分を守る工夫も必要だ。


■ 気になる人は誰でも検査を C型肝炎、早期治療が大切
共同通信ニュース速報 2004-12-09-14:15

 肝硬変、肝がんへと悪化する恐れのあるC型肝炎は早期発見と治療が大切だ。リストに掲載された医療機関が危険な血液製剤を使ったのは10年以上も前で、患者を 特定できない施設がほとんど。専門家は「気になる人は誰でも検査を」とアドバイスしている。
 厚労省が検査を呼び掛けたのは、公表された医療機関に1994年以前に受診し、(1)妊娠中や出産時、またはそれ以外の手術やけがで大量出血した、(2)白血病など で「血が止まりにくい」と指摘された――人たちなど。
 フィブリノゲンはこうした患者の止血に使われたが、数千人分以上の血しょうをプールして製造するため、94年にウイルス死滅処理が導入されるまではC型肝炎を 広める危険性が高かった。
 肝炎に詳しい広島大大学院の吉沢浩司教授は「C型肝炎は早めにウイルスを駆除して肝硬変や肝がんにさせないのが一番。専門医のもとで治療すれば完治することも 多くなったので、すぐ検査を」と忠告する。
 肝炎検査は、40歳以上なら市町村の住民検診でおおむね1000円前後で受けられるが、地域によって費用や対象年齢がまちまち。地元自治体や保健所に問い合わせる のが一番で、医療機関で自費で検査する方法もある。
 C型肝炎の感染源はフィブリノゲンだけではなく、輸血歴のある人などもリスクは高い。国内の潜在的な感染者は150万人と言われており、吉沢教授は「40歳以上 なら誰でも一度検査した方がいい」としている。


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