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「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」案に対する意見書


2008年1月7日

衆議院議長 河野洋平 殿
参議院議長 江田五月 殿

(順不同)
先天性無フィブリノゲン血症患者有志
北海道ヘモフィリア友の会
岩手ヘモヒリー友の会
東北ヘモフィリア友の会
つつじの会(栃木血友病友の会)
埼玉ヘモフィリア友の会有志
むさしのヘモフィリア友の会
静岡県ヘモフィリア友の会
岐阜県ヘモフィリア友の会
鶴友会(愛知県血友病患者会)
三重県ヘモフィリア友の会
滋賀ヘモフィリア友の会
京都ヘモフィリア友の会
大阪ヘモフィリア友の会
兵庫県ヘモフィリア友の会
広島県ヘモフィリア友の会
福岡県ヘモフィリア友の会
大分県ヘモフィリア友の会
宮崎県ヘモフィリア友の会
血友病とともに生きる人たちの委員会
社会福祉法人 はばたき福祉事業団
東京HIV訴訟原告団
大阪HIV訴訟原告団


 このたび、いわゆる「薬害C型肝炎訴訟」の解決(全面和解)を目指し、表記法案が与党(自民党・公明党)によって議員立法され、野党各党も概ね賛意を表明する中、 迅速な成立の見込みと伝えられております。本訴訟においては、フィブリノゲン製剤、第IX因子製剤をはじめとする血液製剤(血漿分画製剤) によるC型肝炎感染が焦点となっております。

 私たちは、血友病、先天性フィブリノゲン欠乏症など先天性凝固異常症の患者として、本訴訟に直接容喙するところではありません。しかしながら、長年に渡り、 今般問題となっている当該製剤及びそれに準じる製剤を凝固因子補充治療のために使用してきた者として、強い関心とともにその経緯を見守ってまいりました。

 これらの血液製剤(血漿分画製剤)は、現在ではさまざまな対策の実行により安全の確保が図られておりますが、1975年以来、正式な政府の検討会等において、 安全な献血による国内自給の実現が繰り返し求められていながら、よりリスクの高い買血プール血漿、あるいは輸入血漿が原料として使用されるなど、不十分な血液事業、 血液行政によってもたらされた弊害により、多くの患者達は HIV、HCV、HBV等々の病原体に暴露・感染し、原疾患に加えての闘病を余儀なくされています。

 しかるに、本法案においては、当該製剤投与によってC型肝炎に感染した人々が「感染被害者」――救済の対象とされてはいるものの、その被害範囲は 「後天性の傷病に係る投与」によってC型肝炎に感染した者及びその遺族に「特定」されています。従来、私たちは、自らの血液製剤使用によるC型感染をいわゆる 「被害」として訴え出てはおりませんが、このような法案の条文において、 私たち先天性凝固異常症患者の感染事実を容認すべき当然の結果と位置づけるがごとき内容が規定されることは、由々しき事態と考えております。

 少なくともこれまで、フィブリノゲン製剤によって HCVに感染した先天性無フィブリノゲン血症患者をはじめとする血友病類縁疾患患者63名、 第IX因子製剤によって HCVに感染した血友病B患者 443名、加えて、それらに準じる第VIII因子製剤によって HCVに感染したフォンウィルブランド病患者 120名、 同じく血友病A患者2042名の(投与の事実確認も容易な)存在は、明白かつ厳然たる事実です(※1)。これらの感染者をもとより排除するような法律の策定により、 「薬害肝炎訴訟」をもって代表される肝炎問題の全面的解決とすることは、前文に述べられた 「人道的観点から、早急に感染被害者の方々を投与の時期を問わず一律に救済する」との目的とは著しく離反しており、法の下における公平性にも悖るものであります。 また、同時に、これまでの行政と患者との関係性をも大きく覆す内容であり、私たちとして、到底看過し得るところではありません。

 「薬害C型肝炎訴訟」の解決を目指すために迅速な成立が期待される法律であるとはいえ、併せて、 先天性凝固異常症の患者の存在・尊厳を踏みにじるにも等しい内容の法律となるような事態は、絶対に避けられなければなりません。 「国民病」「医原病」とも呼ばれる肝炎と闘うあらゆる人々に対する分け隔てのない手厚い支援の招来をも期すべく、本法案の審議に当たりましては、 血液製剤等々による総てのC型肝炎感染者に対する実質的な救済及び支援を国民に約束する国会決議の実行などの対応を強く要望致します。

以上


※1 血液凝固異常症全国調査運営委員会による「血液凝固異常症全国調査」平成18年度報告書から(生存者のみ)


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