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研究紹介

医療/生命倫理

  
■ 寿命:医療進歩で2030年までに平均100歳 米で予測
 がん治療などの医療や老化防止研究が現在のペースで進み普及すれば、人間の平均寿命が2030年までに百歳前後になる可能性が高いとの予測を米スタンフォード大の シュリパド・トゥルジャパーカー教授(生物学)がまとめた。ただし、恩恵は高価な先端医療を受けられる先進国に限られ、“命の南北格差”は拡大する見通しだ。
 同大広報部が明らかにした教授の研究によると、世界各地の人口増加率や経済レベルのデータに、医療や老化防止の進歩と普及の予測を当てはめると、現在80歳前後の 先進国の寿命は10年から30年にかけて飛躍的に延び、100歳前後に達すると推測できるという。
 しかし、進歩がめざましいがん治療や老化防止研究による医療を受けられるのは今後も豊かな国々の人に限られる見通し。トゥルジャパーカー教授は、アフリカでエイズ 問題が深刻化しながら高価な治療薬は先進国に偏在する現実を指摘し「こうした現状を変えなければ貧しい国は(貧困の)悪循環に陥る」としている。
 米医学会には、同教授のように医療技術の進歩を重視し、寿命が延びるとする予想がある一方、米国を代表とする先進各国では肥満問題が深刻化し、糖尿病罹患率の増加 で今後、平均寿命は短くなっていくとの見方もある。(ロサンゼルス共同)

毎日新聞 2006年3月8日 16時19分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060308k0000e040090000c.html


  
■ 心臓病の子どもに負担増 審議中の自立支援法案
共同通信 日本医師会デイリーニュース 2005/06/27
 衆院で審議中の障害者自立支援法案に対し、現在は児童福祉法に基づく「育成医療」の公費助成を受けている心臓病の子どもを持つ親などが反対の声を強めている。 法施行で医療費負担が大幅に増えるからだ。今月16日には、患者や家族が国会前で法案修正を求めた。
 自立支援法はこれまで別々の法律に基づいていた身体、知的、精神障害者へのサービスを一元化し、障害者にも1割の定率負担を求める。これに伴い、肢体不自由 や内臓病を持った障害児を対象とした育成医療は廃止され、「自立支援医療」として今年10月から原則1割負担となる。
 厚生労働省によると、育成医療の対象となり、所得に応じた公費の助成を受けている受給者は全国で約6万8000人(2003年度)。
 自立支援法では、医療費が高額で一生続く治療(腎臓機能、小腸機能、免疫機能の障害)の場合、所得が多い人でも自己負担に月額2万円の上限が設けられたが、 心臓病などは対象から外れた。
 「全国心臓病の子どもを守る会」の試算では、20日間入院し医療費が300万円かかるケースで、親が所得税課税の最低区分の場合は、法施行後の自己負担が現 在の4600円から入院時の食費も含め11万600円に跳ね上がるという。同会は「重症の場合は再手術も必要で、子育て支援にも逆行する制度。手術が遅れると 命の危険もある」と訴える。
 育成医療と同様に10月からは、「更生医療」による助成対象となっている障害者手帳を持つ成人や、現在5%の自己負担で通院している精神障害者にも1割負担 が求められる。所得税額が30万円以上の人は一般と同じ3割に引き上げられる。入院時の食費も自己負担となる。
 人工透析や統合失調症などには月額2万円の上限が設けられるが、ほとんどの病気が対象からはずれており、受診を控えることによる症状の悪化が懸念されている。
 衆院厚生労働委員会の審議は、与党と民主党との間で修正協議の動きがあったため一時中断したが、負担増の凍結などを求める民主党はその後協議打ち切りを決め た。与党側は7月に審議を再開させ採決する構えだ。


  
■ 医療費抑制に前向き対応 自民・丹羽調査会長
共同通信 日本医師会デイリーニュース 2005/6/24
 自民党の丹羽雄哉社会保障制度調査会長は23日、増大する医療費について「今日の状況を見れば、適正化を進めないといけ ない。無駄や過剰診療といわれるものに思い切ってメスを入れないといけない」と述べ、骨太の方針に基づき、年末の抑制策策定に党としても前向きに取り組む考えを 示した。所属する堀内派総会で語った。
 具体的な抑制策に関しては「タブーとされてきた終末期医療の在り方、1人の人間に保険料を集中的に活用するような、例えば人工透析といった問題について、年 末には思い切った政策を打ち出していきたい」と述べた。
 ただ丹羽氏は、医療費の伸び率を名目国内総生産(GDP)などを基に抑える方式については「断固採らない」と指摘した。

■ 高額レセプトも議論
共同通信 日本医師会デイリーニュース 2005/6/24
 尾辻秀久厚生労働相は24日の閣議後の記者会見で、医療費抑制策ついて「診療報酬明細書(レセプト)が高額の患者の 医療費が、医療費全体の中で多くを占めていることは、今後の議論だと思う」と述べた。
 自民党の丹羽雄哉社会保障制度調査会長が23日、「終末期医療の在り方について、年末には思い切った政策を打ち出したい」との考えを示したことに関連しての 発言。丹羽氏は発言で「1人に保険料を集中活用している例」として人工透析の医療費抑制にも触れている。


  
■ 自民厚労族、対案提示へ 骨太方針の医療費抑制策
共同通信 日本医師会デイリーニュース 2005/6/13
 自民党の厚生労働部会は10日の幹部協議で、政府の「骨太の方針」に盛り込む医療費の抑制策として、都道府県ごとに平均入院日数短縮の目標を設定するなど、 個別の縮減計画を積み上げることで抑制を図ることを提案する方針を決めた。
 経済財政諮問会議の民間議員が主張している「名目国内総生産(GDP)などに対応したマクロ指標」を使った医療費抑制策への対案としたい考えだ。
 一方、尾辻秀久厚労相は、この日の記者会見で、あらためて経済に連動した指標で医療費に枠をはめる手法に反対する意向を表明した。尾辻氏は省内で「経済指標 での管理が(骨太の方針に)入るなら、閣議で署名できない」との決意を示しており、同方針をめぐる政府、与党内の対立が一段と鮮明になった。
 与党の社会保障関係議員は、経済指標で医療費を管理することには、「必要な医療サービスを提供できなくなる」と反対しており、10日午前には自民、公明両党 の厚労部会長が細田博之官房長官にこうした主張を伝えた。
 ただ、小泉純一郎首相が、医療費抑制について「何らかの指標が必要」と、厚労相に繰り返し指示していることもあり、自民厚労部会としても対案が必要と判断し、 10日の幹部協議となった。
 一方、厚労省はこれまでに、糖尿病など生活習慣病対策やいわゆる社会的入院の解消を重点に、個別の政策に数値目標も設けた上、中長期にわたる「医療費の構造 的削減」を提起。2025年度にこれまでの見通しより約1割医療費を削減できるとの試算をまとめている。


  
Subject: シュナイダー来日講演
Date:Tue, 01 Feb 2005 22:07:02

日本保健医療社会学会
2005年度第2回関西地区定例研究会

テーマ 「『逸脱と医療化』再訪―二十五年後の回顧と評価(仮)」
講師 ジョセフ・シュナイダー教授(ドレイク大学)
      ※ 逐語通訳あり
進行 進藤雄三教授(大阪市立大学)
日時 2005年3月5日(土) 13:00〜17:00
場所 キャンパスプラザ京都(京都駅前)
共催 大阪府立大学総合科学部社会学研究室
参加費 会員・無料 非会員・500円(資料代および会場費として)
関西地区定例研究会担当理事 林千冬(神戸市立看護大)


 なお、シュナイダー教授の来日に伴い、他に2回の研究会が予定されております。こちらもあわせてご参加ください。いずれも詳細は以下までお問い合わせください。

■来日研究会No.2:京都
日時 3月6日(日) 13:00〜17:00(予定)
場所 龍谷大学大宮キャンパス
テーマ 「ケアを提供し、自己を記述する―クロスカルチュラルなエスノグラフィーの試み(仮題)」
問合せ先 京都精華大学人文学部 山田富秋 075-702-5110  tomi.yamada@nifty.ne.jp
       大阪府立大学総合科学部 中河伸俊 072-254-9619  nakagawa@soc.cias.osakafu-u.ac.jp

■来日研究会No.3:東京
日時 3月8日(火) 13:00〜17:00(予定)
場所 淑徳大学池袋キャンパス
テーマ 「厳格派構築主義からポストモダン・エスノグラフィーへ(仮題)」
問合せ先 大阪府立大学総合科学部 中河伸俊 072-254-9619  nakagawa@soc.cias.osakafu-u.ac.jp
       淑徳大学社会学部 山本功 PGB0317@nifty.com



■ 医療事故 発生時、患者らにカルテ提供 マニュアルに明記 大阪・枚方市民病院

 大阪府枚方市の市立枚方市民病院が、医療事故が起きた場合、病院長に報告すると同時にカルテのコピーを患者や家族に提供することを義務づけた医療事故対応 マニュアルを作成、運用していることが28日、分かった。医療過誤訴訟では、患者側がカルテ改ざんを主張しても立証は難しいとされるが、事故後のカルテ改ざんを 防ぐのが狙い。患者の権利を守るための先駆的な取り組みとして、全国的に注目されそうだ。

 カルテは医師法で5年間の保存を定めているが、改ざんを禁じる項目はない。弁護士グループの調査で、過去10年間に全国の医療過誤訴訟で改ざんが疑われる ケースが109件あったことが判明している。
 同病院は昨年3月、「医療事故発生時における対応指針」を策定。「事故発生直後の対応」の項目に「改ざん防止のために」という項目を設け、「事故発生時に 病院長に報告すると同時に、それまでの診療録の写しを患者・家族に提供する」と明記した。家族の範囲については、父母、配偶者、子ども、生前に患者が指定した人。 マニュアルに従うと、院内の報告と患者側への説明が同時になるため、改ざんする余地がなくなる。さらに同病院は今年3月から電子カルテを導入。カルテを修正した 場合は履歴として残ることになっている。
 森田眞照院長は「医療行為に伴うミスや不自然な死亡などがあった際、患者や家族の方に、きちんと説明するために項目を設けた」と説明している。現在まで マニュアルに基づき、カルテを提供した事例はないという。
 改ざん防止マニュアルは、同病院で起きた医療過誤の反省から創設された医療事故等防止監察委員協議会のメンバーが作成を提言していた。同病院は昨年4月から、 請求があれば、例外なくカルテを開示する取り組みも始めている。【今西拓人、宇城昇】

◇市民団体「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司事務局長の話
 事故が起きた場合、院内でカルテを保全して改ざんを防ぐケースは聞くが、患者側への提供を明文化したのは画期的だ。カルテを開示しないために信頼関係を失い、 訴訟せざるを得ない状況に追い込まれる患者は多い。カルテの開示で医療そのものの改善にもつながり、医療過誤訴訟が減るのではないか。

毎日新聞 2004年8月29日 東京朝刊

cf.
勝村久司ホームページ
医療情報の公開・開示を求める市民の会



■ホームページ
日本エイズ学会
日本感染症学会
日本女医会

Medical Tribune

大阪大学医学部 医の倫理学



■参考文献
莇昭三 1992 『医療学概論 患者との共同の営みとしての医療』勁草書房
Beauchamp, T. L. Frontiers of Biomedical Ethics = 立木教夫・永安幸正監訳 1999 『生命医学倫理のフロンティア』行人社
Beauchamp, T. L. & Childress J.F. 2001 Principles of Biomedical Ethics: Fifth Edition, Oxford
市野川容孝編 2002 『生命倫理とは何か』平凡社
島次郎 2001 『先端医療のルール−人体利用はどこまで許されるのか』講談社現代新書
進藤雄三 1990 『医療の社会学』世界思想社
進藤雄三黒田浩一郎編  1999 『医療社会学を学ぶ人のために』世界思想社
立岩真也 2001 「なおすことについて」 野口裕二・大沢英昭編 『臨床社会学の実践』有斐閣選書


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