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老年社会学
Sociology of Aging

http://online-kaikou.ritsumei.ac.jp/2011/syp/show.php?course_code=15807
立命館大学産業社会学部
このファイルは、北村個人が作成したものであり、文責はすべて北村にあります。


■担当教員(2011年度)
 北村健太郎

■開講期間(2011年度後期/木曜/3限/明学館96) ※補講・講義日の変更に注意!

■授業の概要(オンラインシラバスより)
 私たちは生まれ、病み、老いて、いずれは死んでゆく。〈いま・ここ〉で生きている私たちの〈生〉は〈老い衰えてゆく〉過程とも言える。本講義では、 〈老い〉という視点から現代社会に立ち現われる様々な論点(雇用、ジェンダー、社会保障、ケアワーク、社会参加等)について、深く考えることを目指す。 各講の内容は、連続ないし循環しているので、つながりを意識して受講すること。ときには、一般的に「問題」と言われている現象について、 「どのように問題なのか」と根本的に問い返す姿勢で受講してもらいたい。

■到達目標
 〈老い〉を切り口として、社会学的視点から(日本を中心に)現代社会に対する認識を深め、受講者が各々の考察を論述できるようになること。 また、様々な社会現象や各種論点に対して、根本的に問い返す姿勢が身につくとより望ましい。

■授業回数・予定日・使用予定テキスト
第1回 9月29日(木) 本講義の視点と概要
見田宗介,[19960210]2004「越境する知」,『社会学がわかる。』朝日新聞社,4-8.(AERA Mook)
第2回 10月6日(木) 〈老い〉を想像する(1)
Minois, Georges, 1987, Histoire de la Vieillesse En Occident, de l' Antiquite a la Renaissance: Librairie Artheme Fayard (=1996,大野朗子・菅原恵美子訳『老いの歴史――古代からルネサンスまで』,筑摩書房.)407+XXIVp. 5700+税
第3回 10月13日(木) 〈老い〉を想像する(2)
『生きたい』(119分)1999/01/15公開 原作・脚色・監督:新藤兼人
出演:三國連太郎・大竹しのぶ・吉田日出子・塩野谷正幸・羽村英・津川雅彦・柄本明・大谷直子・宮崎美子・広岡由里子・麿赤兒・六平直政・渡辺徹・中里博美・草薙仁 ・絵沢萠子・大森南朋・菊地百合子
第4回 10月20日(木) 〈老い〉とケア(1)
天田城介,20110325,第11章「折り重なる悲鳴──我々は生きるがために家族と暮らす/家族と離れる」 天田城介北村健太郎堀田義太郎編, 『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』:413-437,生活書院, 522p.
第5回 10月27日(木) 〈老い〉と身体
耕治人,19950223,「そうかもしれない」鶴見俊輔・安野光雅・森毅・井上ひさし・池内紀編『いのちのかたち』:197-234,筑摩書房(新・ちくま文学の森6).412p.  1748+税(以下、連続)
藤村正之,20080820, 「〈生〉の社会学のために」『〈生〉の社会学』:261-312,東京大学出版会,316+xvip. 2800+税(前半)
第6回 11月3日(木) 〈老い〉とケア(2)
藤村正之,20080820, 「〈生〉の社会学のために」『〈生〉の社会学』:261-312,東京大学出版会,316+xvip. 2800+税(後半)
第7回 11月10日(木) 〈老い〉とライフコース(1)
小林宗之・小辻寿規,20110525, 「新聞報道から見る高齢者所在不明問題」『生存学』4:208-219,生活書院, 251p. 2200+税
前田信彦,20060530,「高齢期の社会的ネットワーク」「高齢期の社会的ネットワークの事例分析」 『アクティブ・エイジングの社会学――高齢者・仕事・ネットワーク』:143-167,ミネルヴァ書房,272p. 3800+税
第8回 11月17日(木) 〈老い〉とライフコース(2)
天野正子,19990225,「境界を生きる老い(1)(2)」『老いの近代』:137-161,岩波書店,258+vip. 2300+税(=20061211, 『老いへのまなざし――日本近代は何を見失ったか』,平凡社(平凡社ライブラリー),312p. 1200+税)
第9回 11月24日(木) 〈老い〉とライフコース(3)
辻正二,20000215,「高齢者の老後観と老人処遇観」「老人ラベリング論の可能性」 『高齢者ラベリングの社会学――老人差別の調査研究』:250-296,恒星社厚生閣,296p. 4200+税
第10回 12月1日(木) 〈老い〉と病い
向井承子,19900320, 『病いの戦後史――体験としての医療から』,筑摩書房,246p. 1495+税
向井承子,20080201, 「超高齢社会と死の誘惑」『現代思想』36-2(2008-2):101-109.
第11回 12月8日(木) 〈老い〉と社会保障(1)
牧昌子,20110325,第2章「1980年代以降の高齢者に対する税制改正を伴った医療制度改革の現在」 天田城介北村健太郎堀田義太郎編, 『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』:90-125,生活書院, 522p.
第12回 12月15日(木) 〈老い〉と社会保障(2)
進藤雄三,20090930,「医療における排除――後期高齢者医療制度を事例として」 森田洋司監修/森田洋司・矢島正見・進藤雄三・神原文子編 『新たなる排除にどう立ち向かうか――ソーシャル・インクルージョンの可能性と課題』:163-179,学文社,280p.
第13回 12月22日(木) 〈老い〉と政治(1)
天田城介,20110325,第3章「老いをめぐる政策と歴史」 天田城介北村健太郎堀田義太郎編, 『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』:126-147,生活書院, 522p.
第14回 1月12日(木) 〈老い〉と政治(2)
多田富雄,20071120, 「診療報酬改定 リハビリ中止は死の宣告」「ここまでやるのか厚労省 リハビリ患者を欺く制度改悪の狙いは何か」 『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』,青土社,172p. 1200+税
第15回 1月19日(木) 〈老い〉と残された問い
吉岡忍,20020630,「新しい老人モデルの創出を」済民日報,『識見交流(特集:『老い』の新たな視点)』1:118-133,創元社,307p.1900+税
アン・ヨンチュン,20020630,「超高速高齢化――安全網がない」済民日報,『識見交流(特集:『老い』の新たな視点)』1:134-146,創元社,307p.1900+税

■授業外学習の指示
 日常生活の中で、〈老い〉に関わることに関心を向けること。また新聞・雑誌等の〈老い〉に関する記事を読む際は、生活の場で何が起きているか、 そこに影響している人間同士の力関係や社会制度の仕掛けを考えながら読むこと。

■成績評価方法
定期試験 60% 〈老い〉に関わることの理解および授業参加を評価する。
平常点評価 40% 出席、講義中に課すミニレポートなど。

■定期試験
 1月 日( )(2011年度後期/限/)立命館大学産業社会学部

■備考
 定期試験は講義で取り上げた内容から出題するので、各回の講義をよく把握すること。不明な点があれば、放っておかずに、必ず担当者に質問すること。

■受講および研究に関するアドバイス
 〈老い〉を想像し、〈老い〉に関する様々なことを自らに引きつけて考えてほしい。

■教科書
天田城介北村健太郎堀田義太郎編  20110325 『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』 生活書院,522p. ISBN-10: 4903690733 ISBN-13: 9784903690735 3000+税  [amazon][kinokuniya]

■参考書
◆冷水豊編 20020330 『老いと社会――制度・臨床への老年学的アプローチ』,有斐閣,307p.  ISBN-10: 4641121524 ISBN-13: 978-4641121522 \1995  [amazon][kinokuniya] 入門書。社会学的視点は少なめ。
◆前田信彦 20060530 『アクティブ・エイジングの社会学――高齢者・仕事・ネットワーク』 ミネルヴァ書房, 272p. ISBN:4623045420, ISBN-13: 978-4623045426 3800  [amazon] 雇用、ライフコース等。
天野正子 20061211  『老いへのまなざし――日本近代は何を見失ったか』, 平凡社,312p. ISBN-10: 4582765971 ISBN-13: 9784582765977 \1200  [amazon][kinokuniya] ジェンダー、マイノリティ等。
天田城介 [20030228]20100310  『〈老い衰えゆくこと〉の社会学(増補改訂版)』,多賀出版,vi+683p. ISBN-10: 4811575717 ISBN-13: 978-4811575711 \4,200  [amazon][kinokuniya]  相互作用論、意味の生成、統治論等。
天田城介 20110920  『老い衰えゆくことの発見』,角川学芸出版,256p. ISBN-10:4047034959 ISBN-13: 978-4047034952   1890 [amazon][kinokuniya]  高齢者ケアの具体事例に基づく考察。

■備考
 2000年代以降の出版で、総合的かつコンパクトな社会学的視点からの〈老い〉に関するテキストは少ないので、各自の関心に合わせて参考にすること。

■参考になるウェブサイト
「デンデラ」公式サイト  ◇「デンデラ」公式ツイッター
BIGLOBEストリーム 映画「デンデラ」〜姥捨山には、続きがあった〜



■参考文献
森 幹郎 19700415 『ヨーロッパの老人福祉』, 全国社会福祉協議会,259p. ASIN: B000J9OXZA 480 [amazon]  ※ b a02 a06
◆デーケン,アルフォンス 松本たま 訳 19840515 『第三の人生――あなたも老人になる』,南窓社,145p. ISBN-10: 4816500073 ISBN-13: 978-4816500077 999 [amazon] ※ d01.a06.,
◆日野原 重明 19871030 『死と老いと生への道――日野原重明著作集・1』,中央法規出版,235p.  ISBN-10: 4805804815 ISBN-13: 978-4805804810 2000 [amazon][kinokuniya] ※ a06.d01.
日野原 重明  19870320(初版)→19981020(新装版)  『老いと死の受容』,春秋社,194p. ISBN-10:4393364147 ISBN-13:978-4393364147 \1785  [amazon][kinokuniya] ※ a06 d01
水野 肇 1991023 『あなたが痴呆になるとき』, 厚生科学研究所,213p. ISBN-10: 490569051X ISBN-13: 978-4905690511 \1575  [amazon][kinokuniya] ※ a06
◆今井 澄 199201 『豊かな明日への暮らしと医療――高齢化社会と地域医療』,鳥影社,346p.  ISBN-10: 479525172X ISBN-13: 978-4795251724 1835 [amazon]  ※ a06.,
◆大熊 一夫 19951125 『ルポ・有料老人ホーム』,朝日新聞社,223p. ISBN-10: 4022569077  ISBN-13: 978-4022569073 [amazon] ※ a06.
◆小沢 勲 19980630 『痴呆老人からみた世界――老年期痴呆の精神病理』,岩崎学術出版社,258p.  ISBN-10: 4753398072 ISBN-13: 978-4753398072 3150 [amazon][kinokuniya][boople] ※ a06.
◆桃谷 方子 20000122 『百合祭』,講談社,250p. ISBN-10:4062100320 ISBN-13:978-4062100328 \1680  [amazon][kinokuniya]※ a06
山井 和則 20021225  『全国訪問ルポ こんな介護施設を選びなさい 安心できる老いのための最重要ポイント』, 青春出版社,252p,ISBN-10: 4413018664 ISBN-13: 978-4413018661 , 893 [amazon] ※ a02.a06.
天田 城介 20030228  『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』,多賀出版,595p. ISBN:4-8115-6361-1 8925  [amazon][kinokuniya]/ [boople][bk1]  ※ a06.
◆山路 克文 20030710 『医療・福祉の市場化と高齢者問題――「社会的入院」問題の歴史的展開』, ミネルヴァ書房,234+10p. ISBN-10: 4623038661  ISBN-13: 978-4623038664 2730 〔amazon〕 ※
天田 城介 2004/03/30  『老い衰えゆく自己の/と自由――高齢者ケアの社会学的実践論・当事者論』,ハーベスト社,394p.  ISBN:4-938551-68-3 3800 [amazon][kinokuniya][boople][bk1] ※ a06.
◆大井 玄 20040615 『痴呆の哲学――ぼけるのが怖い人のために』,弘文堂,270p. ISBN-10: 433500057X ISBN-13: 978-4335000577 1890 [amazon] ※ a06.
山田 富秋 編 20051012  『ライフストーリーの社会学』,北樹出版,158p. 1800+税 ISBN-10: 4779300169  ISBN-13: 978-4779300165 [amazon] ※
◆小澤 勲・黒川 由紀子 20060120 『認知症と診断されたあなたへ』,医学書院,136p.  ISBN: 4-260-00220-1 1600 [boople][amazon] ※ a06 b01,
◆井戸 美枝 20060201 『図解 医療保険の改正早わかりガイド』,日本実業出版社,168p.  ISBN-10: 4534040342 ISBN-13: 978-4534040343 1470 [amazon][kinokuniya] ※ a06.,
◆前田 信彦 20060530 『アクティブ・エイジングの社会学――高齢者・仕事・ネットワーク』, ミネルヴァ書房,272p. ISBN:4623045420 3800 [amazon][kinokuniya] ※ a06
◆香山 リカ 20060818 『老後がこわい』 ,講談社,188p.ISBN-10: 4061498525 ISBN-13: 978-406 1498525 735 [amazon] ※
◆高齢者医療制度研究会 20061210 『新たな高齢者医療制度――高齢者の医療の確保に関する法律 (概説と新旧対照表)』,中央法規出版,243p,ISBN-10: 4805847042 ISBN-13: 978-4805847046 2310 [amazon][kinokuniya] ※ a06.
◆日野 秀逸・寺尾 正之・国民医療研究所 20061225 『「医療改革法」でどうなる、どうする』, 新日本出版社,173p. ISBN-10: 4406033351 ISBN-13: 978-4406033350 1470 [amazon][kinokuniya] ※ a06.,
天田 城介 20070130 『〈老い衰えゆくこと〉の社会学〔普及版〕』,多賀出版,606p. ISBN-10:481156362X ISBN-13: 9784811563626 \5250   [amazon][kinokuniya] ※ a06 (新規)
上野 千鶴子 20070712 『おひとりさまの老後』,法研,263p. ISBN-10: 4879546801 ISBN-13: 978-4879546807 1470 [amazon] ※ a06 d01 t02
◆読売新聞生活情報部 編 20070720 『改定新版 定年@マネー第二の人生を安心して過ごすマネー学』,生活書院,159p. ISBN-10:4903690113ISBN-13:9784903690117 \1500 [amazon][kinokuniya]※ a06
◆藤原 智美 20070830 『暴走老人!』,文藝春秋,214p. 1000+税 ISBN-10: 416369370X  ISBN-13: 978-4163693705 [amazon] ※ a06
◆読売新聞生活情報部 編 20071130 『ゆうゆうシニアライフご指南帖』,生活書院,236p.ISBN-10:4903690164  ISBN-13:9784903690162 \1680 [amazon][kinokuniya]※ a06
◆田尾 雅夫 20071115 『セルフヘルプ社会――超高齢社会のガバナンス対応』, 有斐閣, 370p. 3255 ISBN-10: 4641163022 ISBN-13: 978-4641163027 [amazon] ※
◆吉武 輝子 20080108 『病みながら老いる時代を生きる』,岩波書店,70p. ISBN: 4000094173  ISBN-13: 978-4005005833 [amazon] ※ a06.
日本リハビリテーション病院・施設協会 編 20080110『高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン』,青海社,114p. ISBN-10:4902249308 ISBN-13:978-4902249309 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ a06 r02
◆土佐 和男 編 200802 『高齢者の医療の確保に関する法律の解説――付・高齢者の医療の確保に関する法律』, 法研,461p. ISBN-10: 487954714X ISBN-13: 978-4879547149 4725 [amazon][kinokuniya] ※ d01.a06.,
◆日野 秀逸 20080405 『医療構造改革と地域医療 新版――後期高齢者医療と財政問題から日本の医療を考える』,自治体研究社,134p.  ISBN-10: 488037508X ISBN-13: 978-4880375083 1400 [amazon][kinokuniya] ※ a06.
上野 千鶴子中西 正司 編 20081001 『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』,医学書院,296p. ISBN-10: 4260006436  ISBN-13: 9784260006439 2310 [amazon][kinokuniya] ※ a02 a06 d00
◆吉岡 充・村上 正泰 20081229 『高齢者医療難民――介護療養病棟をなぜ潰すのか』,PHP研究所,203p.  ISBN-10: 456970591X ISBN-13:978-4569705910 [amazon]


01・「老い・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.05).446-470.医学書院.2007年05月01日発行.
天野 正子 20061211  『老いへのまなざし――日本近代は何を見失ったか』, 平凡社,312p. ISBN-10: 4582765971 ISBN-13: 9784582765977 \1200 [amazon][kinokuniya]
天野 正子 20050401  『「つきあい」の戦後史――サークル・ネットワークの拓く地平』,吉川弘文館,286,6p.  ISBN-10:4642079408 ISBN-13:9784642079402 2940 [amazon][kinokuniya]
◆思想の科学研究会.1999.『思想の科学総索引 1946-1996』思想の科学社.ISBN:9784783600930.\21,800 (税込\22,890).
◆思想の科学研究会〈老いの会〉編.1987.『老いの万華鏡――「老い」を見つめる本への招待』御茶の水書房.ISBN:9784275007254.\1,800(税込\1,890).

02・「老い・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.06).554-558.医学書院.2007年06月01日発行.
荻野 美穂 編 20061222  『資源としての身体――身体をめぐるレッスン2』,岩波書店,248p.  2835 ISBN-10: 4000267280 ISBN-13: 978-4000267281 [amazon]
◆伊東光晴・河合隼雄・副田義也・鶴見俊輔・日野原重明編.1986a.『老いの発見(1)/老いの人類史』岩波書店.ISBN:9784000040310.\2,233(税込\2,345).
◆伊東光晴・河合隼雄・副田義也・鶴見俊輔・日野原重明編.1986b.『老いの発見(2)/老いのパラダイム』岩波書店.ISBN:9784000040327.\2,233(税込\2,345).
◆伊東光晴・河合隼雄・副田義也・鶴見俊輔・日野原重明編.1987a.『老いの発見(3)/老いの思想』岩波書店.ISBN:9784000040334.\2,233(税込\2,345).
◆伊東光晴・河合隼雄・副田義也・鶴見俊輔・日野原重明編.1987b.『老いの発見(4)/老いを生きる場』岩波書店.ISBN:9784000040341.\2,233(税込\2,345).
◆伊東光晴・河合隼雄・副田義也・鶴見俊輔・日野原重明編.1987c.『老いの発見(5)/老いと社会システム』岩波書店.ISBN:9784000040358.\2,233(税込\2,345).

03・「老い・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.07).644-648.医学書院.2007年07月01日発行.
◆小倉康嗣.2006.『高齢化社会と日本人の生き方――岐路に立つ現代中年のライフストーリー』慶應義塾大学出版会.ISBN:9784766413205.\5,600(税込\5,880)
◆伊藤益臣.2006.『ひとつの昭和精神史――折原脩三の老いる、戦場、天皇と親鸞』思想の科学社.ISBN:9784783601005.\2,500(税込\2,625).
◆木下康仁.1993.『老人ケアの人間学』医学書院.ISBN:9784260348843.\2,700(税込\2,835).
◆折原脩三.1984.『「老いる」の幻想』日本経済評論社.ISBN:9784818800311.\1,800(税込\1,890).

04・「老い・4」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.08).740-744.医学書院.2007年08月01日発行.
◆Macdonald, Barbara,Rich, Cynthia.1983.Look Me in the Eye:Old Women, Aging and Ageism.Spinsters/ Aunt Lute.=寺澤恵美子・山本博子・久保とし子・N・ミナイ訳. 1994.『私の目を見て――レズビアンが語るエイジズム』ウィメンズブックストア松香堂.原柳舎.ISBN:9784879749420(4879749427).\1,748(税込\1,835).
◆樋口恵子編.1992.『エイジズム(ニュー・フェミニズム・レビュー Vol.4)』学陽書房.ISBN:9784313840447(4313840443).\1,553(税込\1,631).
◆Palmore, Erdman Ballagh.1999.Ageism:Negative and Positive.(2nd Edition).Springer.=鈴木研一訳.2002.『エイジズム――高齢者差別の実相と克服の展望』 明石書店.ISBN:9784750316277(475031627X).\5,000(税込\5,250).
◆寺澤恵美子.1997.「ポスト・フェミニズムの中の老い――B.フリーダンとB.マクドナルドをめぐって」.井上俊ほか編『成熟と老いの社会学』(岩波講座現代社会学第13巻) 岩波書店.95-108.ISBN:9784000107037(4000107038).\2,800(税込\2,940).
◆上野千鶴子・中村雄二郎.1989→1994.『〈人間〉を超えて――移動と着地』河出書房新社.(1989年版は青土社から出版)ISBN:9784309472607(4309472605). \660(税込\693).

05・「老い・5」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.09).834-838.医学書院.2007年09月01日発行.
◆Friedan, Betty.1993.The Fountain of Age.Simon & Schuster.=山本博子・寺沢恵美子訳.1995.『老いの泉〈上・下〉』西村書店. ISBN:9784890135417(4890135413)/ ISBN:9784890135424(4890135421).\2,427(税込\2,548)/\2,427(税込\2,548).
◆Friedan, Betty.1963.The Feminine Mystique.W.W Norton & Co.=三浦冨美子訳.2004.『新しい女性の創造(増補版)』大和書房. (1977年版と1986年版も同出版社から刊行).ISBN:9784479880332(447988033X).\2,500(税込\2,625).
◆Callahan, Daniel.1989.Setting Limits:Medical Goals in an Aging Society.Touchstone Books.=山崎淳訳.1990. 『老いの医療――延命主義医療に代わるもの』早川書房.ISBN:9784152034564(4152034564).\1,748(税込\1,835).
◆寺澤恵美子.1997.「ポスト・フェミニズムの中の老い――B.フリーダンとB.マクドナルドをめぐって」.井上俊ほか編『成熟と老いの社会学』 (岩波講座現代社会学第13巻)岩波書店.95-108.ISBN:9784000107037(4000107038).\2,800(税込\2,940).

06・「老い・6」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.10).928-932.医学書院.2007年10月01日発行.
Callahan, Daniel 1987 SETTING LIMITS: Medical Goals in an Aging Society, Simon & Schuster, 256p.=19901031 山崎 淳 訳 『老いの医療――延命主義医療に代わるもの』, 早川書房,297p. ISBN-10: 4152034564 ISBN-13: 978-4152034564 \1835 [amazon][kinokuniya] ※ be
◆Callahan, Daniel.1991."Ethics and Population Limitation.".In Environmental Ethics.2nd Edition.edited by K.S. Schrader-Frechette.Boxwood Press. =平石隆敏訳.1993.「倫理と人口制限」.京都生命倫理研究会訳.1993.『環境の倫理(下)』晃洋書房.471-502.ISBN:9784771006423(4771006423). \3,500(税込\3,675).[同論文の最初の刊行は1972年、同論文が所収された編著の1st Editionは1981年].
◆Callahan, Daniel.2000.The Troubled Dream of Life:In Search of a Peaceful Death.Georgetown University Press.=岡村二郎訳.2006. 『自分らしく死ぬ――延命治療がゆがめるもの』ぎょうせい.ISBN:9784324080412(4324080410).\2,857(税込\3,000).
◆Kass, Leon R .2002.Life, Liberty and the Defense of Dignity:The Challenge for Bioethics.Encounter Books.=堤理華訳.2005. 『生命操作は人を幸せにするのか――蝕まれる人間の未来』日本教文社.ISBN:9784531081455(4531081455).\2,476(税込\2,600).

07・「老い・7」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.11).1018-1023.医学書院.2007年11月01日発行.
井口 高志 20070630  『認知症家族介護を生きる――新しい認知症ケア時代の臨床社会学』,東信堂,335p. ISBN-10: 4887137680  ISBN-13: 978-4887137684 \4410 [amazon][kinokuniya]
出口 泰靖.2004.「「呆け」たら私はどうなるのか? 何を思うのか?」(155-183) 「「呆け」について私はもの語れるのか?――〈本人の「呆けゆく」体験の語り〉が生成される場〈場〉」(185-216). 「「呆けゆく」体験を、〈語り、明かすこと〉と〈語らず、隠すこと〉」(217-228). 「「呆けゆく」体験を、〈語り、明かすこと〉と〈語らず、隠すこと〉のはざまで――本人が「呆けゆく」体験を語り明かすことは、私たちに何をもたらすのか?」」 (229-253)山田 富秋 編 20040930  『老いと障害の質的社会学――フィールドワークから』,世界思想社,273p.  ISBN:4-7907-1082-3 1890 [boople][amazon][bk1] ※
小澤 勲 20060501  『ケアってなんだろう』,医学書院,300p ISBN: 4-260-00266-X 2000  [amazon][kinokuniya][boople]※ a06 b01 c04,
◆浮ヶ谷 幸代・井口 高志 編著 20070309  『病いと〈つながり〉の場の民族誌』,明石書店,219p.  ISBN-10: 4750325155 ISBN-13: 978-4750325156 \2940  [amazon][kinokuniya]  ※ b m/s01

08・「ケア・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.12).1110-1114.医学書院.2007年12月01日発行.
◆Sandelowski, Margarete.2000.Devices & Desires:Gender, Technology, and American Nursing.University of North Carolina Press. =2004.和泉成子監修・中岡彩訳.『策略と願望――テクノロジーと看護のアイデンティティ』日本看護協会出版会.ISBN:9784818010857(4818010855). \3,800(税込\3,990).
Haraway, Donna J. 1991 Simians, Cyborgs, and Women: The Reinvention of Nature, London: Free Association Books and New York: Routledge=20000725 高橋 さきの訳, 『猿と女とサイボーグ:自然の再発明』,青土社,558p. ISBN-10: 4791758242  ISBN-13: 978-4791758241 3600 [amazon] ※ b c01 c02
Haraway, Donna J. ; Goodeve, Thyrza Nichols 2000 How Like a Leaf: An Interview With Thyrza Nichols Goodeve, Routledge.+Haraway, Donna.2004.“Cyborgs, Coyotes, and Dogs; A Kinship of Feminist Figurations”“There are Always More Things Going on Than You Thought! Methodologies as Thinking Technologies", The Haraway Reader, Routledge.=2007.高橋 透・北村 有紀子 訳, 『サイボーグ・ダイアローグズ』,水声社,2625 ISBN:9784891766221(4891766220). 2625 [amazon] ※ b c02
◆Phoca, Sophia.Wright, Rebecca.1999.Introducing Postfeminism.Totem Books.=2003.竹村和子・河野貴代美訳. 『イラスト図解"ポスト"フェミニズム入門』作品社.ISBN:9784878935619(4878935618).\1,600(税込\1,680).
◆高橋 透 20060601 『サイボーグ・エシックス』,水声社,180p. ISBN-10: 489176578X  ISBN-13: 978-4891765781 2100 [amazon] ※ b c02
竹村 和子  20030810  『“ポスト”フェミニズム』,作品社,226p. ISBN-10:4878935464 ISBN-13:9784878935466 \2000  [amazon][kinokuniya] ※ f03

09・「ケア・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.01).64-69.医学書院.2008年01月01日発行.
加藤 秀一 20070930 『〈個〉からはじめる生命論』, 日本放送出版協会,NHKブックス1094,245p. ISBN-10: 4140910941 ISBN-13: 978-4140910948 1019  [amazon][kinokuniya] ※
◆Williams, Bernard.1973.Problems of the Self;Philosophical Papers 1956-1972.Cambridge University Press.ISBN:978-0521202251(0521202256). (税込¥8,000程度)
加藤 秀一 200408  『<恋愛結婚〉は何をもたらしたか――性道徳と優生思想の百年間』筑摩書房, 238p.ISBN:4-480-06187-8 756  [amazon][boople][bk1] ※
加藤 秀一 19980910  『性現象論――差異とセクシュアリティの社会学』,勁草書房,370p. ISBN-10: 4326652144  ISBN-13: 978-4326652143 3570 [amazon][kinokuniya] ※ f03 s00
柘植 あづみ加藤 秀一 編 20070910  『遺伝子技術の社会学』, 文化書房博文社,ソキウス研究叢書・テクノソサエティの現在1,237+18p. ISBN:9784830110856 (4830110856) 3570  [amazon] ※ b g01 ms
◆Parfit, Derek 1984 Reasons and Persons, Oxford University Press=19980620 森村 進 訳, 『理由と人格――非人格性の倫理へ』,勁草書房,750+20p. ISBN: 4326101202 9500 ※  [boople] ※

10・「ケア・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.02).154-158.医学書院.2008年02月01日発行.
◆有吉 佐和子 19720610 『恍惚の人』,新潮社,312p. ASIN: B000J95OE4 690  [amazon] ※ →19820525(文庫版)→20030225  『恍惚の人』(52刷改版),新潮社,新潮文庫,437p. ISBN-10:4101132186 ISBN-13:9784101132181 660  [amazon]
◆青山光二.2003.『吾妹子哀し』新潮社.→2006.『吾妹子哀し』新潮社(新潮文庫).ISBN:9784101375045(4101375046).\438(税込\460).
◆ひさうちみちお.2007.『精G――母と子の絆』青林工芸舎.ISBN:9784883792498 (4883792498)\1,000(税込\1,050).
◆耕治人.2006.『そうかもしれない――耕治人命終三部作その他』武蔵野書房.ISBN:9784943898597(4943898599).\2,000(税込\2,100). 同書には1986年初出「天井から降る哀しい音」.『群像』41(7)(1986年7月号).144-168、1987年初出「どんなご縁で」『新潮』1987年11月号、 1988年初出「そうかもしれない」.『群像』43(2)(1988年2月号).6-25、の3部作が再録されている。
◆真野さよ.1981.『黄昏記』ミネルヴァ書房.→1990.『黄昏記』(同時代ライブラリー53)岩波書店.ISBN:9784002600536(400260053X).\874(税込\918).
◆モブ・ノリオ.2004.『介護入門』文藝春秋.→2007.『文藝春秋』(文春文庫).ISBN:9784167717438(4167717433).\429(税込\450).
向井 承子 19930930  『老親とともに生きる』,晶文社,285p. ISBN-10:4794961375 ISBN-13: 978-4794961372 1835  [amazon][kinokuniya] ※ b a02 a06
◆Parfit, Derek 1984 Reasons and Persons, Oxford University Press=19980620 森村 進 訳, 『理由と人格――非人格性の倫理へ』,勁草書房,750+20p. ISBN: 4326101202 9500 ※  [boople] ※
◆佐江衆一.1995.『黄落』新潮社.→1999.『黄落』新潮社(新潮文庫).ISBN:9784101466071(4101466076).\552(税込\580).
◆上野千鶴子.1998.「『恍惚の人』と『黄落』のあいだ」.『小説TRIPPER「老いと文学を探求する」1998春季号:34-45.→2000. 『上野千鶴子が文学を社会学する』朝日新聞社に「老人介護文学の誕生」として再録.→2003.『上野千鶴子が文学を社会学する』朝日新聞社(朝日文庫)に同文で再録. ISBN:9784022643193(4022643196).\600(税込\630).


11・「ケア・4」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.03).248-252.医学書院.2008年03月01日発行.
向井 承子 20030825  『患者追放――行き場を失う老人たち』 筑摩書房,250p. ISBN:4-480-86349-4 1500  [amazon][boople][bk1]  ※, b d01 a02 a06
向井 承子 19811025 『小児病棟の子どもたち』 晶文社,280p. 1320  [bk1] ※
向井 承子 19840705  『たたかいはいのち果てる日まで――医師中新井邦夫の愛の実践』  新潮社,ISBN:9784103536017(4103536012). \1,300(税込\1,365).→1990.『たたかいはいのち果てる日まで――人間的医療に賭ける』筑摩書房(ちくま文庫).ISBN:9784480023759(4480023755). \602(税込\632).→2007.『たたかいはいのち果てる日まで――医師中新井邦夫の愛の実践[復刻版]』エンパワメント研究所,筒井書房発売. ISBN:9784887205208(4887205201).\1,600(税込\1,680).
向井 承子 19900320  『病いの戦後史――体験としての医療から』  筑摩書房,246p. ISBN-10: 448085536X ISBN-13: 978-4480855367 1495  [amazon][kinokuniya] 品切(2001) ※
向井 承子 1993.『看護婦の現場から』講談社.ISBN:9784061491557(4061491555).\660(税込\693).
向井 承子  19930930 『老親とともに生きる』,晶文社,285p. ISBN-10:4794961375 ISBN-13: 978-4794961372 1835  [amazon][kinokuniya] ※ b a02 a06
向井 承子 1997.『医療最前線の子どもたち』岩波書店.ISBN:9784000260596(4000260596).\1,200(税込\1,260).
向井 承子 2001.『脳死移植はどこへ行く?』晶文社.ISBN:9784794964748(4794964749).\1,800(税込\1,890).

12・「安楽死・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.04).350-354.医学書院.2008年04月01日発行.
◆Binding, Karl & Hoche, Alfred.1920.Die Freigabe der Vernichtung lebensunwerten Lebens:Ihr maB und ihre form.Felix Meiner, Leipzig. =森下直貴・佐野誠訳.2001.『「生きるに値しない命」とは誰のことか――ナチス安楽死思想の原典を読む』窓社.ISBN:9784896250367)(4896250362). \1,800(税込\1,890).
◆朝日新聞社編.1972.『高齢社会がやってくる』朝日新聞社.ASIN: B000J9O9DG.\540(税込\567).
◆Gallagher, Hugh Gregory.1995.By Trust Betrayed:Patients, Physicians, and the License to Kill in the Third Reich, Vandamere Press. =長瀬修訳.1996.『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』現代書館.ISBN:9784768466872(4768466877).\3,500(税込\3,675).
◆笠原正成.1962.『老人社会学』駿河台出版社.ASIN:B000JA7R84.
◆笠原正成編,1981,『高齢化社会と安楽死問題』駿河台出版社.ASIN:B000J7VE54.\2,500(税込\2,625).
◆笠原正成編,1984,『老人問題の今日的課題――老人安楽死問題に関する論文と資料』駿河台出版社.ASIN:B000J71UXU.\2,000(税込\2,100).
◆Klee, Ernst.1993.Euthanasie.im NS-Staat, Fisher, Frankfurt am Main.=松下正明訳.1999.『第三帝国と安楽死――生きるに値しない生命の抹殺』批評社. ISBN:9784826502597(4826502591).\8,500(税込\8,925).
◆毎日新聞社学芸部編.1974.『あなたの老後――毎日新聞連載「さめないスープ」』帝国地方行政学会.ASIN:B000J9N8NI.\1,100(税込\1,155)
◆宮野彬.1976.『安楽死――人間に死ぬ権利はあるか』日本経済新聞社(日経新書).ASIN: B000JA05MY.\550(税込\578).
◆那須宗一.1962.『老人世代論――老人福祉の理論と現状分析』芦書房.ASIN: B000JAK1AK.
◆那須宗一.1976.『不老のすすめ』勁草書房.ISBN:9784326650194(4326650192).\690(税込\725).
◆小俣和一郎.1995.『ナチスもう一つの大罪――安楽死とドイツ精神医学』人文書院.
米本 昌平 19890330 『遺伝管理社会――ナチスと近未来』弘文堂,212p. 1500  ISBN:9784335750069(4335750064).\1,505(税込\1,580).
米本 昌平松原 洋子島 次郎市野川 容孝  20000720 『優生学と人間社会――生命科学の世紀はどこへ向かうのか』, 講談社現代新書1511,286p. ISBN:4-06-149511-9 777  [amazon][boople][bk1] ※

13・「リハビリ・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.05).446-450.医学書院.2008年05月01日発行.
多田 富雄 20071210  『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』
 青土社,172p. ISBN-10: 4791763629 ISBN-13: 978-4791763627 1260  [amazon][kinokuniya] ※ r02.
多田 富雄・今村 仁司 198706  『老いの様式――その現代的省察』 誠信書房,318p. ASIN: 4414803055 [boople][amazon]
多田 富雄 1993.『免疫の意味論』青土社.ISBN:9784791752430(4791752430).\2,200(税込\2,310).
多田 富雄 19970225 『生命の意味論』,新潮社, 243p. ISBN-10: 4104161012 ISBN-13: 978-4104161010 1890 [amazon][kinokuniya] ※
◆福原義春・多田 富雄 2001.『老いとは何か』求龍堂.ISBN:9784763001047(4763001043).1,200(税込\1,260).
多田 富雄・鶴見 和子 20030615  『邂逅』 藤原書店,231p. ASIN: 4894343401 2310  [amazon][kinokuniya] ※ r02.
多田 富雄・柳沢 桂子 20040430  『露の身ながら――往復書簡いのちへの対話』 集英社,269p. ISBN: 4087812650 1470  [amazon][kinokuniya] ※
多田 富雄 199909 『独酌余滴』,朝日新聞社,250p.  ISBN-10: 4022574364 ISBN-13: 978-4022574367 1890 [amazon][kinokuniya] ※
多田 富雄 2006.「患者から見たリハビリテーション医学の理念」『現代思想』34(13).34-41.
多田 富雄 2008.「死に至る病の諸相」『現代思想』36(3).40-47.

14・「人口・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.06).524-529.医学書院.2008年06月01日発行.
◆川口弘・川上則道.1989.『高齢化社会は本当に危機か』あけび書房.ISBN:9784900423381(4900423386).\2,000(税込\2,100).
◆川口弘.1989.『老いの経済学――「高齢化社会危機論」を切る』かもがわ出版(かもがわブックレット).ISBN:9784906247653(4906247652).\437(税込\458).
◆盛次幸一・上野喜一・増子忠道・井上英夫 他.1983.『老人差別の悪法を斬る――老人保健法=それは老人"虐待"法』あけび書房.ASIN: B000J77FNO .\1,200(税込\1,260).
◆高齢者医療制度研究会監修.2006.『新たな高齢者医療制度――高齢者の医療の確保に関する法律(概説と新旧対照表)』中央法規出版.ISBN:9784805847046(4805847042). \2,200(税込\2,310).
◆高齢者医療制度研究会監修.2008.『高齢者医療確保法基本法令集〈平成20年版〉』中央法規出版.ISBN:9784805847923(4805847921).\2,800(税込\2,940).
◆斎藤義彦.1997.『そこが知りたい 公的介護保険――老後はどのように変わるのか』ミネルヴァ書房.ISBN:9784623027279(4623027279).\2,400(税込\2,520).
◆斎藤義彦.2000.『介護保険最前線――日独の介護現場の取材から』ミネルヴァ書房.ISBN:9784623032600(4623032604).\2,200(税込\2,310).
◆斎藤義彦.2002.『死は誰のものか――高齢者の安楽死とターミナルケア』ミネルヴァ書房.ISBN:9784623036585(4623036588).\2,000(税込\2,100).
◆斎藤義彦.2004.『アメリカ おきざりにされる高齢者福祉――貧困・虐待・安楽死』ミネルヴァ書房.ISBN:9784623039968(462303996X).\2,500(税込\2,625).

15・「病い・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.07).614-618.医学書院.2008年07月01日発行.
Frank, Arthur W 1995 The Wounded Storyteller: Body, Illness, and Ethics, Chicago: The University of Chicago Press. ISBN-10: 0226259935 ISBN-13: 978-0226259932  [amazon] ※=20020215 鈴木 智之 訳, 『傷ついた物語の語り手――身体・病い・倫理』,ゆみる出版, ISBN-10: 4946509291 ISBN-13: 978-4946509292 2940 [amazon] ※ sm.,
Frank, Arthur W 1991 At the Will of the Body: Reflections on Illness, Boston: Houghton Mifflin Company. ISBN-10: 0618219293 ISBN-13: 978-0618219292 [amazon] ※=19960520 井上 哲彰 訳, 『からだの知恵に聴く――人間尊重の医療を求めて』,日本教文社,ISBN-10: 453108098X  ISBN-13: 978-4531080984 1631 [amazon] ※ sm.,
Frank, Arthur W 2004 The Renewal of Generosity: Illness, Medicine, and How to Live, Chicago:The University of Chicago Press. ISBN-10: 0226260178 ISBN-13: 978-0226260174 [amazon] 約¥1,800 ※
Bauman, Zygmunt 1989 Modernity and Holocaust, Polity Press. =20060920  森田 典正 訳,『近代とホロコースト』,大月書店,296+20p. ISBN-10: 4272430696 ISBN-13: 978-4272430697  \3885 [amazon][kinokuniya] \3,700(税込\3,885)※
Bauman, Zygmunt 1992.Mortality, Immortality and Other Life Strategies.Stanford University Press. (Twenty-Third Edition).ISBN:9780804721646(0804721645).約¥2,250.
Bauman, Zygmunt 2000 Liquid Modernity, Polity Press. =20010620  森田 典正 訳,『リキッド・モダニティ――液状化する社会』,大月書店,283p.  ISBN-10: 4272430572 ISBN-13: 978-4272430574 3990  [amazon] \3,800(税込\3,990) ※ ds b
◆Giddens, Anthony.1991.Modernity and Self-Identity:Self and Society in the Late Modern Age, Stanford University Press. = 2005 秋吉 美都・安藤 太郎・筒井 淳也 訳 『モダニティと自己アイデンティティ――後期近代における自己と社会』ハ−ベスト社. ISBN:9784938551742(4938551748).\2,800(税込\2,940).
Kleinman, Arthur 1988 The Illness Narratives : Suffering, Healing, and the Human Condition, Basic Books.=19960425, 江口 重幸・五木田 紳・上野 豪 訳,『病いの語り――慢性の病いをめぐる臨床人類学』 誠信書房.ISBN:9784414429107(4414429102).\4,200(税込\4,410).
◆Levinas, Emmanuel 1991 Entre nous:essais sur le penser-a-l'autr,B. Grasset,268p.=19931220 合田 正人・谷口 博史 訳, 『われわれのあいだで――《他者に向けて思考すること》をめぐる試論』,法政大学出版局,365p.  ISBN-10: 4588004158 ISBN-13: 978-4588004155 4200 [amazon] ※ 0e/1

16・「病い・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.08).716-721.医学書院.2008年08月01日発行.
小泉 義之 20060410  『病いの哲学』,ちくま新書,236p. ISBN:4480063005 756  [amazon][kinokuniya] ※,
17・「病い・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.09).820-824.医学書院.2008年09月01日発行.
美馬 達哉 20070530  『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』,人文書院,257p.  ISBN-10: 4409040863 ISBN-13: 978-4409040867 2520 [amazon][boople] ※ b sm
18・「障害・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.10).916-921.医学書院.2008年10月01日発行.
星加 良司 20070225  『障害とは何か――ディスアビリティの社会理論に向けて』,生活書院,360p.  ISBN-10: 4903690040 ISBN-13: 978-4903690049 3150  [amazon][kinokuniya] ※ ds.
19・「生存・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.11).994-999.医学書院.2008年11月01日発行.
立岩 真也 19970905  『私的所有論』,勁草書房,445+66p. ISBN-10: 4326601175 ISBN-13: 978-4326601172 6300  [amazon][kinokuniya] ※
20・「同一性・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.12).1076-1082.医学書院.2008年12月01日発行.
◆Parfit, Derek 1984 Reasons and Persons, Oxford University Press=19980620 森村 進 訳, 『理由と人格――非人格性の倫理へ』,勁草書房,750+20p. ISBN: 4326101202 9500 ※  [boople] ※



■参考記事

日経ビジネスオンライン
高齢者 出席簿 蜘蛛の糸 行方不明
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」〜世間に転がる意味不明

2010年8月20日(金)
小田嶋隆

できれば所在不明のままでいてほしい

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 足立区で都内最高齢とされる男性がミイラ化した遺体で発見された事件は、当初、奇妙奇天烈奇々怪々な事件として報じられた。
 なにしろ相手がミイラだから。
 111歳(←生きていれば)という年齢も驚きだったし、遺体が30年を経たものであるらしい点も特異だった。家族によれば、本人は30年以上前のある日「即身仏になる。 絶対に開けるな」と言い残したきり、部屋から出てこなくなったのだそうだが、その証言の真偽も含めて、当件はどこまでも素っ頓狂だった。
 だから、世間の人々も、第一報を聞いた段階では、誰もが特殊な家庭に起こった例外的な事件だというふうに受け止めていた。私もだ。 どうにも浮世離れしていると思った。猟奇的に見える半面、牧歌的な感じもある。お伽話みたいだ。昭和拾遺物語。ワンスアポンアタイム・イン・アダチク。

 ところが、同じ事件について、年金の不正受給の疑いが報じられると、コメンテーターの論調はガラリと変わった。夢が醒めたみたいなぐあいに。なるほど。 カネの匂いはすべてを消臭する。物語りっぽさも。
 で、ニュースは、類似の事案を導き出す端緒となった。新たなミイラを召喚したのではない。別の遺体が発掘されたのでもない。所在が確認できない高齢者の記録が、 全国で見つかったのである。それも、百歳を超える幻の高齢者たちの、行き先を辿れない書類が。続々と、だ。
 彼らはどこへ行ったのだろうか。
 ニュースショーの司会者は、お盆からこっち、毎日びっくりしていた。
「本当にこれはいったいどういうことなのでしょうか」

 私は、正直に申し上げて、さほど驚かなかった。
 実際にご老人が消えたわけではないからだ。誰にだってわかることだ。彼らは消えたのではない。ただ、所在が確認できていない。それだけの話だ。
 というよりも、有り体に言って、書類上の処理が滞っているということ以上でも以下でもないのだ。
 とすれば、これは大いにありそうな話ではないか。
 私だってしょっちゅう行方不明になる。
「オダジマさんはいません」
「いない? どうしてだ? なぜ消えるんだ?」
「知りません。何度連絡しても不在です」
「携帯は?」
「不通です」
 そう。電源を切れば良いのだよ。簡単な話だ。
 で、鎖切った男(←「腐り切った男」by Atok)として午後の町をさまよう。必要な時間だ。こうしておいた方が何かと都合が良いのだ。私と、 私を捜す側の人々の双方にとって、真相は電波の届かない場所に放置しておいた方が万事丸くおさまる。そういうものなのだ。
 ご老人の遺族もまた多くの場合、ご老人だ。百歳超ということになれば、息子や娘だってすでに後期高齢者だ。すべての手続を遺漏なくこなせるとは限らない。 百老百態。様々な事情がある。お役所の窓口だって、ある程度年齢の行った人間に対しては、そんなにせっついた対応はしない。納税も期待できないわけだし。 であるならば、多事多端な日常の中で記録だけが生き残っていくという事態は十分に考えられる。
 死亡届は出ていないものの、確たる生存確認には至っていないケース。こういうグレーゾーンは、ある確率で必ず発生する。しかも、 こういう玉虫色の記載事項については、役所によって扱いが違う。税務署はどこまでも執念深く標的を追うだろう。彼らはハンターだから。
 しかしながら、そのほかの役所は必ずしも追跡者ではない。ハイエナでもない。住民基本台帳を扱う係のお役人はずっと鷹揚だ。鷹揚。ハゲタカの旋回とは違う。 その他、転出届や転入届や死亡届や行方不明者の捜索願を受け付ける係の人々もそれぞれにそれぞれな仕事をしている。 すべてのお役人が同じ解釈で動いているとは限らない。誰もがハゲタカ基準で働いているわけではない。当然の話だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100819/215880/

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 が、「消えた老人」の話は、メディアにとって格好のフックになった。
 話題として使い勝手が良いからだ。
 たとえば、「家族の絆の希薄化」「地域共同体の崩壊」ぐらいな話題に持ち込むための導入部として扱えば、 コーナーをちょっとセンチメンタルな方向に誘導することができる。夕方の時間帯のニュースに不可欠な湿度をもたらすための蛇口みたいなニュース。 逃す手はない。
 「戸籍制度の盲点」「役人の怠慢」「税金の無駄遣い」というおなじみの方向に持って行くテもある。画面を指さしてズバッと指摘すれば一丁上がり。 なあに手慣れた仕事ですよ。
 どっちにしても語り手は当件をとっかかりに、お手軽な社会批評を展開することができる。とすれば、こんな素敵なネタはない。着地点は 「いやはや大変な世の中になりましたね」ぐらい。どうにでもなる。そうやって慨嘆していればQシートは埋まる。次はスポーツです。つなぎのニュースとしては完璧だ。 ちょっと湿っぽくて懐かしい昭和のエートスを感じさせるトピック。
 役人の怠慢を責めるのはたやすい。
 でも、実際の話、事件後二週間を経て、二百数十人の所在不明老人が発覚したのだといって、これは「異常事態」なのだろうか。 私には極めて自然ななりゆきであるように思えるのだが。だって、三百人弱ですぜ。何千万人のうちの。ほんの端数ではないですか。
 日本の戸籍制度は世界でも類を見ない精密なシステムだと言われている。
 国民の出生や死亡や現住所や婚姻の有無や相互の血縁関係について、わが国の役所は、非常に正確な情報を把握している。少々行き過ぎではないかと思う程だ。たとえば、 中南米や東南アジアの諸国の中には、そもそも戸籍そのものが存在していない国があったりする。住民台帳に似たものがあっても、 そこに記載されているデータは必ずしも正確でない場合が多い。中国にしてもそうだ。都市部には膨大な数の無戸籍者が流入している。正確な数は把握できない。 把握していないものの数は数えることができない。統計化することもできない。当たり前だ。
 その点、わが国の戸籍謄本には、まったく逃げ場所がない。どこに引越しても、お上にはすべてがお見通しだ。われわれは金魚鉢に似た環境で暮らしている。透明性。 誰のための、だ? そのくせ、うっかり電話料金を滞納すると、その日のうちに回線が遮断され、都市生活者はいきなりロビンソンクルーソーになる。 住民票の移転を怠っただけで住所不定の扱いを受ける。と、彼はもう市民ではない。金魚鉢を飛び出した金魚。野良犬より始末に負えない。野良金魚。息もできない。 なんということだろう。
 今回の非実在後期高齢者続発事案は、あくまでもレアケースだ。
 うちの国のがんじがらめな住民台帳システムにも、若干のアナがあったということに過ぎないからだ。
 とすれば、これはむしろ慶賀すべきことではなかろうか。少なくとも私はほっとしているが。
 1980年代のはじめ頃、私は、学校を出てはじめて勤めた会社を八カ月で辞めた。で、退社に伴って、大阪の豊中というところから住民票を東京に戻した。と、 ほどなくその豊中市からハガキが届いた。住民税を納めていなかったからだ。
 ふむふむと思って放置していると、しばらくして、より脅迫的な文面の督促状が郵送されてきた。そこには納税が市民の義務である旨と、 滞納を続けると延滞金が課せられるという意味のことが書いてある。なるほど。私はその督促状をさらに暫時放置してみた。
 と、敵は一段と脅迫的な文面の督促状を送ってくる。今度は差し押さえを示唆している。期日までに所定の金額が振り込まれなかった場合、 われわれは強制的な措置に踏み切るであろう、と。肝心なところは赤字の太字で書かれている。しかも下線入り。やるじゃないか豊中。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100819/215880/?P=2

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 私はちょっと盛り上がった。
 なんだか権力と対峙している気持ちになったのでね。
 豊中税務署の署員は、たかだか2万円ばかり(←記憶では延滞金コミで2万数千円だった)の市民税を取り立てるために、本当に出張してくるのであろうか。 交通費にさえならないんじゃないのか?

 で、事情通の友人に相談してみた。どうだろう。これって放っとけばテキも諦めるんじゃないか、と。
 答えは
 「さっさと払えよバカ」
 の一言だった。
 問題は徴税人がやってくるか否かではない。差し押さえが実行されるのかどうかでもない。一旦確定した税額は絶対に逃れられない。 そこのところが理解できない人間は一生涯マトモな社会人になれない。だから払えと言うのだ。ぐだぐだ言ってないで。
「税務署っていうのは、警察以上にマジな全国組織だぞ」
 とそいつは言っていた。税務署は地域ごとに細かく区割りされているように見える。が、横の連絡は完璧で、どこに逃げても、どこに引越しても、 彼らは地球の果てまで追いかけてくることができる。絶対に逃れることはできない。あのルパン三世でさえきちんと青色申告をしている。だからお前も払え。 宇宙人じゃないんだから。
 税務署のネットワークは住民基本台帳のすべてに及んでいる。だから、どこからどこに何回転出しても彼らにはすべてがわかっている。決して逃げることはできない。
 とはいえ、税務署とて、収入の無い人間は追跡しない。
 そういう人間はネグレクトされる。
 羊飼いは乳を出す羊の数を決して間違えない。必ず正確な数を把握している。毛を刈る羊の顔も間違えない。常に明確に記憶している。でも、乳を出さなくなった羊や、 毛を刈ることのできなくなった老いた羊の数は把握していない。というよりも、そういう羊は既に肉になっている。ということはつまり、いまはもうこの世には居ない。 だから数える必要もないし数えることもできない。どうせ骨なわけだから。
 お国も同じだ。
 お役人は、乳を出さず、羊毛を生まない国民の数を数えることに、情熱を持っていない。きわめて自然なことだ。 肉にしないだけ温かみがあると考えるべきなのかもしれない。

 今回の報道のあおりを受けるカタチで、各地のお役所がご老人の所在確認をはじめるようだ。
 なるほど。なんだかとても鬱陶しいことになる予感がする。
 藪を突ついて蛇を召喚する結果にならなければ良いのだが。

 だって、テキはお役人ですよ。一筋縄ではいかない。そう考えなければならない。
 役人に仕事を与えるということは、彼らの自己保存に協力するということにほかならない。
 しかも、この仕事は、9割以上が無駄足になることがはじめからわかっている。そういう仕事だ。
 無駄足。すなわち彼らの主たる業務だ。というよりも、無駄足や無駄口こそが彼らの飯のタネなのだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100819/215880/?P=3

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 で、無駄足のついでに、お役人衆はどうせ余計なものを見つけてくる。
 所在不明高齢者のための生活維持基金機構の設立準備委員会だとか、所在確認事業の経費を算出するための新たな人員の確保だとか、 そういうSFみたいなことを言い出す……ようなことは、いくらなんでも無いだろうが、それでも、 彼らが動いた分だけの人件費は当然お国なり地方公共団体が負担しなければならない。

 消えた年金の時もそうだったが、官僚にとって、怠慢はひとつの事業だ。今日の怠慢が明日の仕事を生む。そういう構造で、彼らの組織は動いている。事実、年金が 「消えた」ことは、新たな業務(年金追跡事業)を生んでおり、おかげで、彼らの組織は一時的にであれ、延命し、焼け太りし、商売繁盛している。
 老人は放っておけばよろしい。
 むしろ、対象者の顔を検分する必要があるのは、児童相談所に通報のあった事例についてだと思う。
 ま、話は別だけど。
 とにかく、関係者のアリバイのために不在者の出欠をとったところで何の意味もない。
 居ない人間の出席をとることはできない。

 ひとつ思い出した。
 非実在高校生の出欠についてのエピソードだ。
 今から30数年前、私が通っていた当時の都立高校では、「代返」という習慣が横行していた。今でもあるのかもしれないが。
 教師が出席をとる時に、「代理」で「返事」をするから、「代返」。むろん、不正行為だ。が、出来の良くない高校生が安全に授業をサボるための相互扶助策として、 代返はとにかく流行していたのである。
 理系と文系をコース分けしていなかった私の高校では、生徒の受験科目に配慮して、出欠確認そのものをオミットしている教師が何人かいた。物理の先生がそうだった。 私立文科系志望の生徒に物理の授業への出席を強要するのも気の毒だと、そういうふうに考えてくれていたのだと思う。 その配慮がわれわれの未来にとって良かったのか悪かったのかは、簡単には判断できない。が、とにかく当時の私にはありがたかった。
 ほかの教師も、出欠の確認にはさほど熱心ではなかった。多くの教師は明らかに代返とわかる場合でも、適当にスルーしてくれていた。まあ、 大人の対応ということだったのだと思う。
 が、一方には、頑として出欠にこだわる先生もいた。たとえば、世界史の先生がそっちの組の代表だった。信念があったのだと思う。
 彼は、名簿順に名前を呼んで返事を確認するだけでは満足しなかった。教卓に常備してある座席表を見て生徒の名前を呼び、 一人一人顔を確認ながらその返事を確認していた。これでは逃れようがない。代返なんかとても無理だ。

 でも、抜け道はあった。天上から垂れる蜘蛛の糸の如き細い道が。
 ある生徒(←岡康道だが)が、座席表を偽造するテを思いついたのだ。
 世界史の授業が近づくと、岡は、自分の名前を抹消した自作の座席表を教卓にある本物の座席表と差し替える。ついでに机と椅子もベランダに運び出して、 そのままどこかに消えてしまう。と、教師がいくら執拗に顔を確認しながら出欠を確認しても、 そもそも名簿に名前が無いのだからして欠席が発覚することもあり得ない。
 なんという素晴らしい生活の知恵。
 でも、勝利は長続きしなかった。追随者が2人3人と増え、4人7人と増殖するにつれて、教室の人口密度が明らかに不自然な空虚さを醸しはじめたからだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100819/215880/?P=4

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 ある時、先生はクラスの人数の少なさを察知して、静かにこう尋ねた。
「このクラスは何人ですか?」
 ……かくして、策は破れたわけだ。
 岡も、手をこまねいていたわけではない。作戦が破局に至るまで、最善を尽くしていた。
 「勝手にマネすんなよ!」
 と、必死でクラスの連中を脅していた。
 が、特許も申請していない発明を誰が尊重するだろうか。
「まるでカンダタだな(笑)」(「蜘蛛の糸」芥川龍之介著 参照)
 と、言いながら、われわれは新作の座席表を教卓に配備した。ベランダには机がバリケードのように積み上げられていた。何を封鎖していたわけでもないのに。

 うん。話がズレている。
 私が言いたかったのは、高校生はいつも逃げたがっているということだ。
 高校生だけではない。大人になっても、われわれは、心の片隅に逃避願望を宿している。で、時々、自分の名前を抹消して、 消えるのだとしたらどっちの方角が良いんだろうかなどと、不毛な考えを遊ばせるわけだ。失踪願望。蒸発妄想。うむ。私にも、 どこかの見知らぬ町でバーテンダーとして生きていく時のための名前を用意していた時代があった。名前は内緒だ。あんまりダサいから。

 「男はつらいよ」の人気がいまだに衰えない理由もおそらくここにある。
 フーテンの寅、風の又三郎、夜桜銀次、ブラックジャック、流れ板七人、木枯し紋次郎……われわれの伝統は、明治大正の時代から一貫して、常に風来坊を愛してきた。 もっとさかのぼって、芭蕉や西行法師の時代から、日本人のうちには、漂泊ということに対する先験的な憧憬があったのかもしれない。

 非エスタブリッシュメントで、イレギュラーで、諸行無常な渡世人。何年かに一遍、旅先から誤字だらけの葉書を送ってくるぶらぶら者の兄貴。われわれは、 フーテンの寅のような、ある日ふっつりと旅に出るみたいな生き方に、心の深いところで強いシンパシーを抱いている。この風来坊への憧れは、 わが国の社会が非常に同質性の高い場所であることと無縁ではない。わたくしどもは、自分たちが住んでいる社会の風通しの悪さに、わがことながら時々うんざりしている。 だから、今回みたいに秩序の破れ目を見つけるとちょっとうれしくなるのだ。

 ご老人たちには、できれば行方不明のままでいてほしい。
 何人かについては仙術を身につけて天上に昇ったとか、そういう噂が流れてくれているとなおありがたい。
 いずれにしても、戸籍がすべての日本人を捕捉せねばならないというのは、パラノイアの政治家の考え方であって、市民であるわれわれの望むところではない。
 多少はアナがあってくれないと困る。
 個人的な意見を述べるなら、全人口のうちの五パーセントぐらいは捕捉不能な日本人がいてもかまわないと思う。その方が面白そうだから。

 思い出してみれば、小学校時代の同級生は半分以上行方不明だ。
 私が知らないだけだと言えばそれまでだが、昭和30年代から40年代の東京では、それほど乱暴な区画整理が行われたということでもある。私の住んでいるあたりでも、 東京オリンピックの前と後では、町並みがまるで変わっている。当然、住んでいる人間の顔ぶれもガラリと変わった。
 であれば、同級生が行方不明になるのも当然といえば当然。見つかる方がおかしい。
 仮に、調査機関やテレビ局みたいなところの力を借りたのだとしても、同級生のうちの二割ぐらいはどうやっても見つからないと思う。それで良いのだ。

 税務署なら、おそらく全員を捕捉できるだろう。
 が、納税と無縁な人間については彼らの仙術も及ばない。
 うむ。あいつはどうしているだろうか。
(文・イラスト/小田嶋 隆)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100819/215880/?P=5


小田嶋 隆(おだじま・たかし)
1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、 現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。近著に『人はなぜ学歴にこだわるのか』(光文社知恵の森文庫)、『イン・ヒズ・オウン・サイト』(朝日新聞社)、 『9条どうでしょう』(共著、毎日新聞社)、『テレビ標本箱』(中公新書ラクレ)、『サッカーの上の雲』(駒草出版)『1984年のビーンボール』(駒草出版) などがある。ミシマ社のウェブサイトで「小田嶋隆のコラム道」も連載開始。

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」〜世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たやすいこと」「取るに足らない出来事」「チョロい仕事」 ぐらいを意味している(らしい)。当欄は、世間に転がっている言葉を拾い上げて、かぶりつく試みだ。ケーキを食べるみたいに無思慮に、だ。で、 咀嚼嚥下消化排泄のうえ栄養になれば上出来、食中毒で倒れるのも、まあ人生の勉強、と、基本的には前のめりの姿勢で臨む所存です。よろしくお願いします。



天田城介 「世界の感受の只中で」 『看護学雑誌』 (医学書院)連載.2007年05月01日〜2008年12月01日.最終更新日:2008.11.20
01・「老い・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.05).446-470.医学書院.2007年05月01日発行.
02・「老い・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.06).554-558.医学書院.2007年06月01日発行.
03・「老い・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.07).644-648.医学書院.2007年07月01日発行.
04・「老い・4」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.08).740-744.医学書院.2007年08月01日発行.
05・「老い・5」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.09).834-838.医学書院.2007年09月01日発行.
06・「老い・6」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.10).928-932.医学書院.2007年10月01日発行.
07・「老い・7」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.11).1018-1023.医学書院.2007年11月01日発行.
08・「ケア・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.71 No.12).1110-1114.医学書院.2007年12月01日発行.
09・「ケア・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.01).64-69.医学書院.2008年01月01日発行.
10・「ケア・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.02).154-158.医学書院.2008年02月01日発行.
11・「ケア・4」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.03).248-252.医学書院.2008年03月01日発行.
12・「安楽死・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.04).350-354.医学書院.2008年04月01日発行.
13・「リハビリ・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.05).446-450.医学書院.2008年05月01日発行.
14・「人口・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.06).524-529.医学書院.2008年06月01日発行.
15・「病い・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.07).614-618.医学書院.2008年07月01日発行.
16・「病い・2」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.08).716-721.医学書院.2008年08月01日発行.
17・「病い・3」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.09).820-824.医学書院.2008年09月01日発行.
18・「障害・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.10).916-921.医学書院.2008年10月01日発行.
19・「生存・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.11).994-999.医学書院.2008年11月01日発行.
20・「同一性・1」世界の感受の只中で 『看護学雑誌』(Vol.72 No.12).1076-1082.医学書院.2008年12月01日発行.

2005〜2006年度老人福祉論



■授業回数・予定日・2010年度進行状況
第1回 10月1日(金) 本講義の視点と概要
第2回 10月8日(金) 〈老い〉を想像する(1) 社会学的視点の確認 ミニレポート第1回(済)
第3回 10月15日(金) 〈老い〉を想像する(2) 映画『生きたい』鑑賞
第4回 10月22日(金) 〈老い〉の現在(1) 新聞から「絆はなぜ切れた」
第5回 10月29日(金) 〈老い〉の現在(2) 新聞から「絆はなぜ切れた」 ミニレポート第2回(済)
第6回 11月5日(金) 〈老い〉とジェンダー(1) 市村弘正「家族の言語学」
第7回 11月12日(金) 〈老い〉とジェンダー(2) 市村弘正「家族の言語学」
第8回 11月19日(金) 〈老い〉とライフコース(1) 前田信彦「高齢期の社会的ネットワーク」「高齢期の社会的ネットワークの事例分析」
第9回 11月26日(金) 〈老い〉とライフコース(2) 清家篤・山田篤裕「高齢者就業促進のための政策」 ミニレポート第3回(済)
第10回 12月3日(金) 〈老い〉をめぐる歴史(1) ジョルジュ・ミノワ『老いの歴史――古代からルネサンスまで』概説
第11回 12月10日(金) 〈老い〉と社会保障(1) 密田逸郎「年金制度の基礎知識と自ら制度を創り出すために」  ミニレポート第4回(済)
第12回 12月17日(金) 〈老い〉をめぐる歴史(2) 辻正二「高齢者の老後観と老人処遇観」「老人ラベリング差別論の可能性」
第13回 12月24日(金) 〈老い〉と社会保障(2) 天田城介「〈老い〉をめぐる政策と歴史」
第14回 1月7日(金) 〈老い〉と政治 多田富雄「診療報酬改定 リハビリ中止は死の宣告」他
第15回 1月14日(金) 〈老い〉と残された問い 吉岡忍「新しい老人モデルの創出を」他


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