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香西豊子

こうざい・とよこ


社会学

■ 論文
2003「解剖台と社会――近代日本における身体の歴史社会学にむけて」『思想』947 2003-3 pp41-58
2005a「「残酷」と「幸福」と――解剖体にみる「身体」の歴史社会学」『生物学史研究』No.75 pp43-54
2005b「屍体をたたえる――ドネーション言説の現代的展開に関する一考察」『生物学史研究』No.75 pp99-111
2005c「近代解剖制度史補遺――『明治四十四年九月 屍体ニ關スル記事 東京醫科大學解剖學教室』の分析から」『日本医史学雑誌』第五十一巻第四号pp549-568
2006「バンキングと身体――日本における血液事業の展開から」 荻野美穂編『資源としての身体――身体をめぐるレッスン 2』岩波書店pp109-132



  
Subject: シンポジウムのご案内
Date: Wed, 17 Nov 2004 15:22:02

日本科学史学会阪神支部会、日本科学史学会生物学史分科会、STS NETWORK JAPAN、医療とSTS研究会、神戸STS研究会、神戸大学塚原研究室 共催

神戸シンポジウム
人体について考える:ドネーションと資源化のはざまで

■ 日時
2004年11月28日 14:00-17:00
■ 場所
神戸大学百年記念館   参加費無料
詳細 http://www.kobe-u.ac.jp/info/access/rokko/index.htm
■ 報告内容
粥川準二氏 (ジャーナリスト・明治学院大学大学院)
「先端医療における人体の資源化」
香西豊子氏 (東京大学大学院)
「『ドネーション』言説の存立様態」
■ 司会コメント
塚原東吾・瀬戸口明久・中尾麻伊香(以上神戸大学)
綾部広則(東京大学)

開催のことば
 科学・技術の進展は、私たちの生に対して計り知れない恩恵をもたらすだけではなく、社会編成のあり方や「人間」観にも多大なる影響をあたえます。そして、それは 時として解決の見いだしがたい問題を私たちに突きつけてくるのです。現在、生命科学の臨床において立ち現れている問題群も、その一例と言えるでしょう。それらが いかに切実なものであるかは、今日の生命倫理をめぐる議論の隆盛が如実に物語っています。
 とはいうものの、そうした問題群をもっぱら生命倫理という枠組みの中でのみ問題化するのでは、論点があまりに現状にひきつけられてしまい、終局的には技術の応用を 推進するのか慎重な態度をとるのかというところへと議論が収束するおそれがあります。そうではなく、この科学・技術・社会の交錯する場に浮上した問題を、どのように すれば開かれたかたちで論じることができるのか。われわれはこれまで歴史的な観点から、あるいは科学技術社会論(STS)や科学ジャーナリズムの観点から、その可能性を 模索してきました。
 今回のシンポジウムも、そうした試みの一つという位置づけにあります。できるだけ多くのひとびとと問題意識を共有し、ともに討議を重ねることによって、閉塞的な 議論の状況をいくばくかでも打開したいという意欲のもとに企画されました。まずは、こうした問題に対して既にいくつかの研究をおこなっている二人の若手研究者に、 おのおのの研究状況をご報告いただき、それをもとにしてより奥行きのある議論をみなさまと展開できればと考えております。

報告者の紹介、および提起される論点
 今回のシンポジウムでの報告者は、明治学院大学大学院に在籍するジャーナリストの粥川準二氏と、東京大学の大学院生である香西豊子氏のおふたりです。
 粥川準二氏はこれまで、生命科学の臨床にひそむ陥穽を「人体の資源化」という言葉で的確に捉え、先端医療が人間社会に対して(潜在的な)脅威となりうることを鋭く 警告してこられました。また、その著書『クローン人間』では、医療というある種の権威主義の貫徹した専門家支配の構図に挑み、周到な論陣を展開されています。そう した幅ひろい取材と考察のなかから、今回はとくに先端医療の最近の動向を報告していただきます。先端医療と言えば、とかく効用の側面が強調されがちですが、その実 それは「人体」や「生命」に対して何を遂行しようとしているのか、斯界に精通した氏ならではのスリリングな見解があわせて提示されることでしょう。
 一方の香西豊子氏は、そうした生命倫理の議論の場そのものがいかなるあり方をしているのか、歴史社会学的な考察によって浮上させる研究を重ねてこられました。 とりわけ献体や献血・臓器移植が論じられる際に投入される言葉を分析して、ドネーション言説の収まりの悪さに迫っています。今回の報告でも、日常で何気なく接して いるドネーションの「善意」や「愛」のことばがどのように作動しているのか、身近な事例から説き起こされます。生命倫理の議論全体の見取りを得る一助となるのでは ないでしょうか。
 以上、シンポジウム当日は両氏を案内人として、「人体」の現在を考察する上での新たな視座をさぐるべく討議をおこなってまいります。みなさまお誘い合わせの上、 是非ともご参加くださいませ。

■ 粥川準二氏プロフィール
 雑誌編集者を経て、96年よりフリージャーナリストに。科学技術と人間社会との関係を独自の視点から取材、執筆。著書に、『人体バイオテクノロジー』 (宝島社, 2001年)、『資源化する人体』(現代書館,2002年)、『クローン人間』(光文社,2003年)などがある。2004年4月より明治学院大学大学院社会学研究科 前期博士課程に在籍。
http://www.jca.apc.org/~kayukawa/

■ 香西豊子氏プロフィール
   東京大学大学院総合文化研究科国際社会学・博士課程。専門は近代日本における身体の歴史社会学。論文「解剖台と社会−近代日本における身体の歴史社会学に向けて」 (『思想』第947号,岩波書店,2003年)、「生命倫理とドネーション」(『生物学史研究』No. 72,生物学史研究会,2003年)。

プログラム
14:00 趣旨説明
14:20 粥川準二氏による報告「先端医療における人体の資源化」 質疑応答
15:20 香西豊子氏による報告「ドネーションの歴史社会学」 質疑応答
16:20 総合討論
17:20 総括
18:30 懇親会

お問い合わせは神戸大学塚原研究室まで

人体について考える:ドネーションと資源化のはざまで


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