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セルフヘルプグループ
患者運動/患者会活動


■血友病
CHP net(血友病の子供とその親たちのためのネットワーク)
「血友病の子供を持つ親」という観点から立ち上げられた血友病の情報サイト。生活に密着した情報が豊富に揃っています。
World Federation of Hemophilia
海外の血友病の情報が豊富に揃っています。
National Hemophilia Foundation
アメリカの血友病患者会のサイトです。
血友病とともに生きる人のための委員会
血友病者が追求すべき理想を「血友病患者憲章」として掲げ、活動しています。

■患者会
◆血友病
広島県ヘモフィリア友の会(広友会)
広島県の血友病患者会のホームページ。血友病に関する情報提供と会員相互の意見交換が中心となっています。
静岡県ヘモフィリア友の会(静友会)
静岡県の血友病患者会のホームページ。県内に点在する血友病患者とその家族のネットワーク作りを目指しています。
愛知ヘモフィリアの会(AHS)
血友病、血友病類縁疾患患者みずからが情報交換などを通して、相互に助け合うことを目指しています。
北海道ヘモフィリア(血友病)友の会
毎年、道内各地で1泊2日の大会、専門医師の医療講演会、相談会、学習会などを行っています。
岐阜県ヘモフィリアの会(岐友会)
医療講演会、相談会の開催や医療機関や専門医師の情報の提供、サマーキャンプなどの活動をしています。
栄友会(三重県ヘモフィリア(血友病)友の会)
患者相互の交流の場を多く設けて、講演会や会報などで医療情報や福祉情報の最新の知見の提供を目指しています。
鶴友会(愛知県血友病患者会)
互いに協力して助け合い、医療対策を推進し、かつ社会に広く訴えて患者と家族を守るための活動を目的としています。
むさしの会
荻窪病院血液科に受診している血友病者と家族を中心に結成されている国内最大規模の血友病患者会です。

HBV/HCV
日本肝炎友の会
医療情報の交換や肝炎が治った経験・体験の紹介、患者間の交流をサポートをしている団体です。

HIV
ライフ・エイズ・プロジェクト
1993年2月に発足した、HIV感染者・エイズ患者のためのサポートグループ。
砂川秀樹のホームページ
AIDSアクティビストの砂川秀樹さんのホームページ。
J-AIDS Japan AIDS Information and Discussion Site
直訳は「日本でエイズについての情報を提供し話し合う場所」です。登録制になっていますので、案内をよくご覧になって活用して ください。まだ感染がわかっていない人からの「エイズ相談」には応じていません。



■患者の権利/オンブズパーソン
患者の権利オンブズマン
オンブズマンネットワーク
医療問題弁護団
日本弁護士連合会
日本生活協同組合連合会医療部会



*以下は、北村によるまとめ
(北村健太郎 2003/02/00 「ある血友病患者会の成立と発展」 2002年度久留米大学比較文化研究科修士論文 より抜粋)

■患者会の定義(北村の試案)
◆ヴォランタリー・アソシエーション
 他の社会集団と区別する際に、患者会をヴォランタリー・アソシエーションと定義する。その理由は、佐藤(1981)の基本的要件を満たしているからである。 ヴォランタリー・アソシエーションの基本的要件として、まずメンバー側の特質としては、

1.自由意志に基づく選択による参加と活動
2.無報酬
3.パートタイム的参加
4.限定的関心

 が挙げられる。次にアソシエーション側の要件として、

1.非営利的
2.没権力志向的、もしくは反権力志向的
3.自律的
4.目標の限定性
5.組織活動の間欠性と非形式化の傾向
6.理念的価値

 が挙げられる。
 ヴォランタリー・アソシエーションは、ヴォランタリー・アクションを前提とする。ヴォランタリー・アクションは、しなければならないからするのではなくて、 それが与えるかもしれないより高次の精神的報酬(喜び、充実感)の観点、より大きな目標へのコミットメントの観点から、したいからするのである。 ヴォランタリー・アクションは、本来的に既存の組織の文脈では安定化されえないことを出発点としている。人間はしばしば自身が直接的に所属している社会システム からはみだすことによって、自己のアイデンティティを確立しようとする。以上のヴォランタリー・アクションを踏まえ、弾力性を持って組織化された集合的表現を ヴォランタリー・アソシエーションという。ヴォランタリーであることは、その運営はあくまでも、メンバーの自由意志に基づく合意によってなされる。しかしまた それは、きわめて不安定で予測不可能な側面をも含んであるので、組織化への努力も強調される。

◆セルフヘルプグループ
 その集団の特質から、患者会をセルフヘルプグループと定義する。その理由は、レビィによるセルフヘルプの定義と一致したからである。レビィは次の5つの条件を 満たすものをセルフヘルプグループとしている(村山、1979)。

1.目的
 基本的な目的は、相互援助を通じてメンバーの問題を改善し、より効果的な生き方を求めていくことである。
2.起源と発足
 起源と発足がグループ・メンバー自身に存在しており、外部の権威や機関によるものではないこと。ただ、当初は専門家が機関車役を果たし、徐々に グループ・メンバーが運営していくようになったものも含める。
3.援助の源泉
 メンバーの努力・技能・知識・関心が主要な援助の源泉である。専門家は補助的役割のみを果たす。
4.メンバー構成
 人生経験や問題を共通にしている人たちで構成されていること。
5.統制
 組織の構造や活動の様式はメンバーが中心になっていること。ときに専門家の援助を受けることがあってもよい。

 久保、石川(1998)によれば、日本におけるセルフヘルプグループの設立の経緯は、欧米のそれとやや異なっている。日本患者同盟(1948年設立)と全国ハンセン氏病 患者協議会(1951年設立、1996年から全国ハンセン病療養者協議会)が、当事者によって設立された初期の代表的な組織である。これらの組織は、医療や生活保障などを 目指して患者運動を展開した。次節でまた触れることにしたい。では、血友病患者会をセルフヘルプグループとして捉えるとき、どのような特徴があるだろうか。アメリカ の血友病患者会、全国血友病協会(National Hemophilia Foundation)を例に見てみる(Gartner and Riessman, 1977)。全国血友病協会は、調査研究、啓蒙教育などを 行うと同時に、セルフケアも行う。家族も含めて会合を持ち、自分たちの状態や対処の方法について話し合い、相互に支援し、励まし合う。血液製剤の開発など医療の 進歩によって、自己管理が重要になってきているからである。このように全国血友病協会は、対外的機能のほか、対内的機能も重視している。

■患者会活動
 患者会活動の先行研究について、歴史的変遷を意識しながら見ておきたい。
 長(1976)は、日本の患者の置かれている状態、患者団体誕生の必然性を、具体的な運動体験の記述を交えて分析した。長は患者運動を「患者運動は、病気をなおす ためにその障害となっている諸問題や、病気をなおすために必要な諸要求を個人個人でなく、個人個人の努力を結合した組織の力によって解決し、患者の生存権、医療権を 守る運動である」と定義した。医療費の問題を見てみると公費負担への要求が非常に強く、公費負担については、今までの運動の成果によって医療費の無料化は特定疾患 (難病者)の無料化へと広がりをみせている、と長は述べている。
 山手(1979)は、難病者がどのように組織的運動をしてきたかという観点から、運動の歴史と展開を次のような3期に分けて論じている。第1期は、患者運動の 形成・発展期(1945〜1960)、第2期は、疾患別難病患者運動の発展(1960〜1972)、第3期は、難病患者運動の統一と拡大(1972〜1979)である。
 それらを受けて、小沢(1989)は1960年代から1970年代にかけての患者会活動は、公害、薬害、労働災害などの被害者団体の結成に対応して増加してきた、と総括した。 そして近年の傾向として、それまでの医療費補償、生活安定の要求に代わって、難病、慢性疾患の患者会、自立生活運動を志向する障害者団体の相互援助を中心とする グループが増えたことを指摘している。このような変化の要因として、3点が挙げられている。

1.心疾患、糖尿病などの慢性疾患の増加に伴って、治療において日常生活の管理の必要性が増加したこと
2.患者の主体的活動の重要性が、専門家の間で単に治療だけではなく、生活の質を高める点で認識されたこと
3.一般の人々の間で、生活者としての自らの健康問題を主体的な活動によって解決していこうという市民運動の影響があること

 である。小沢は、最近強くなってきている傾向として、患者の自主性、主体性を重んじるあり方を指摘する。そして、患者会活動を望ましい方向に動かしていくには、 患者会の自主運営が患者の療養生活の意欲を向上させるという意識が重要だと述べる。



■参考文献
Gartner, A and Riessman, F. 1977 Self-Help in the Human Services, Jossey-Bass Publishers
 =久保紘章監訳 1985 『セルフ・ヘルプ・グループの理論と実際』川島書店
久保紘章・石川到覚 1998 『セルフヘルプ・グループの理論と展開』中央法規
村山正治・上里一郎編 1979 『講座心理療法8 セルフ・ヘルプ・カウンセリング』福村出版
長宏 1976 「患者運動の歴史と展望」日本科学者会議編 『現代日本の医療問題』大月書店
長宏 1978 『患者運動』勁草書房
小沢温 1989 「患者会活動」 川田智恵子・吉田亨編『健康学習・健康教育』出版研
佐藤慶幸 1981 「ヴォランタリズムとアソシエーション」 安田・塩原・富永・吉田編 [1981]
安田三郎・塩原勉・富永健一・吉田民人編 1981 『基礎社会学 第 III 巻 社会集団』東洋経済新報社
山手茂 1979「難病患者の組織と行動」保健・医療社会学研究会編 『保健・医療の組織と行動』垣内出版


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