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「C型肝炎特別措置法の功罪」
C型肝炎特別措置法 アーカイヴ

青土社 『現代思想』36-2(2008-2):143-147


 「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」(以下、C型肝炎特別措置法) (*)が、2008年1月8日に衆議院本会議で、1月11日に参議院本会議で可決成立した。本法の成立によって、いわゆる薬害C型肝炎訴訟は一定の決着をみた。しかし、本法が 急ごしらえの法律であることは否めない。
 本稿の目的は、第一に、同法が1月7日に衆議院に提出されて11日に参議院で可決されるまでの経過を述べること。第二に、本法及び立法による訴訟終結の問題点を析出 することである。なお、C型肝炎特別措置法、ひいては薬害C型肝炎訴訟の論点を考察するとき、「全員」「一律」「一括」「救済」「全面解決」「切り捨て」「線引き」 等々、その含意の吟味が必要な用語が多数あるが、紙数の制約から用語の吟味は措く。

(以下は、『現代思想』2月号をご覧ください。)


■議員立法に至るまでの経緯
■法案提出後の経過
■議員立法という「奇策」

(*)ホームページ http://www.livingroom.ne.jp/ に、「C型肝炎特別措置法」全文、衆参決議等の関連資料を掲載。 本稿のために参照した文献リストも掲載する予定である。


■注記
必要に応じて更新

■参考文献
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朝日新聞社 2007『論座』12月号 朝日新聞社
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Feldman, A Eric and Bayer, Ronald 1999 Blood feuds: AIDS, blood, and the politics of medical disaster  =2003 日本語版編集:山田卓生・宮澤節生・杉山真一 翻訳:山下篤子『血液クライシス――血液供給とHIV問題の国際比較』現代人文社
Glied, Sherry 1999 The Circulation of Blood: AIDS, Blood, and the Economics of Information  =2003「血液の循環――血液とエイズと情報の経済学」Feldman and Bayer[1999]=編集:山田・宮澤・杉山 翻訳:山下[2003:253-279]
早野透 2008「ポリティカにっぽん 急転劇生んだ自民の奥行き 薬害肝炎の救済」『朝日新聞』朝刊 2008-01-07
宝月誠編 1986『薬害の社会学』世界思想社
梶本洋子 2006「梶本洋子のつぶやき2」
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kazmaximum 2007「薬害訴訟について、難病認定患者を持つ家族からの雑感」
http://blog.goo.ne.jp/kazmaximum/e/5c0e5540d30406ceabc87776abe10dd7  2008-01-12
北村健太郎 2005「社会学の視点から――第18回日本エイズ学会会長シンポジウム記録〈HIV感染症と血友病−回顧と展望−〉」 『日本エイズ学会誌』vol.7 No.2,pp .69-70 日本エイズ学会
――――― 2006「血液利用の制度と技術――戦後日本の血友病者と血液凝固因子製剤」『コア・エシックス』vol.2, pp.75-87 立命館大学大学院先端総合学術研究科
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厚生省薬務局企画課血液事業対策室監修 1995a『血液ハンドブック』薬業時報社
――――― 1995b『血液事業実務用語集』薬業時報社
黒瀬勉 2007「社会的共通資本としての医療制度の危機」 霜田・樫・奈良・朝倉・佐藤・黒瀬[2007:146-157]
民主党 2008「民主党B型・C型肝炎総合対策推進本部第24回会合」資料 民主党
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西田恭治・福武勝幸 1996「輸入血液製剤によるHIV感染に関する一考察」『日本医事新報』No.3775,pp.53-55 1996-8-31
西田恭治 1997「輸入血液製剤によるHIV感染に関する一考察(承前)――ジャーナリズムおよび和解所見の功罪」『日本医事新報』No.3802,pp.57-60 1997-3-8
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佐野竜介 2006「出血大サービス赤札日記」
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清水勝 1996「薬害エイズの教訓――輸血医学とくに血液事業面から」薬害根絶フォーラム編[1996:18-37]
霜田求・樫則章・奈良雅俊・朝倉輝一・佐藤労・黒瀬勉 2007『医療と生命』ナカニシヤ出版
霜山龍志 2006『新版・今日の輸血』北海道大学出版会
進藤雄三 1990『医療の社会学』世界思想社
――――― 2004「医療と「個人化」」『社会学評論』216 vol.54 No.4,pp.401-412
Starr, Douglas 1998 Blood: An Epic History of Medicine and Commerce Knopf =1999 山下篤子訳『血液の物語』河出書房新社
衆議院ホームページ 2003a「衆議院会議録」
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――――― 2003c http://www.shugiin.go.jp/ 2008-01-12
田中滋 1986「「薬害」の総体的認識に向けて――薬害の顕在化過程の分析」宝月編[1986:213-250]
山田孝男 2008「風知草 薬害と与謝野馨の助太刀」『毎日新聞』朝刊 2008-01-07
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/news/20080107ddm003070037000c.html
山田ともみ 2007「薬害C型肝炎訴訟――責任に基づく損害賠償を求めるべきではない」『JanJan』
http://www.news.janjan.jp/government/0712/0712217658/1.php 2008-01-12
薬害肝炎訴訟全国弁護団ホームページ 2006a「原告になるための要件」
http://www.hcv.jp/plaintiff.html 2008-01-12
――――― 2006b「和解勧告に対する声明」
http://www.hcv.jp/reconciliation.html 2008-01-12
――――― 2006c「原告団・弁護団の意見「切り捨ては許しません――薬害肝炎の全面解決のために」」
http://www.hcv.jp/1126opinion.html 2008-01-12
―――――  2006d「12.10(月)緊急・総理政治決断要請行動「切り捨ては許しません―薬害肝炎の全面解決のために」」
http://www.hcv.jp/1210protest.html 2008-01-12
――――― 2006e  http://www.hcv.jp/ 2008-01-12
薬害根絶フォーラム編 1996『薬害エイズはなぜ起きたか――二度と悲劇を繰り返さないために』桐書房
全国薬害被害者団体連絡協議会編 2001『薬害が消される!』さいろ社

■追加文献
薬事日報ウェブサイト 2008「肝炎救済 依然として残る難題――傷つく薬害エイズ被害者」
http://www.yakuji.co.jp/entry5533.html 2008-01-18
大西赤人 2008a「薬害C型肝炎「特別措置法」(その1)」
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/colum356.htm 2008-01-21
――――― 2008b「薬害C型肝炎「特別措置法」(その2)」
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/colum357.htm 2008-01-21



『現代思想』2月号 第36巻第2号 編集後記
*去年から今年にかけての出来事で、特筆され、記憶されるべき出来事は、なんと言っても薬害C型肝炎訴訟の全国原告団の一連の発言と活動だろう。 彼女たちのユニークな点は、「全員」という言葉にある。全員とはいったい誰を指すのか。なぜその言葉が出てきたのかはおき、彼女たちは線引きを拒否し、 ただ、全員、と言い張ったのだ。全員、は定義を拒否し、あれやこれやのいいわけを許さない。周囲のものは、また相対するものは、この「全員」をめぐって、 その範囲の確定をめぐって、逆に考えなければならない羽目に陥ってしまったのだ。それはどこからどこまでなのか、そもそも全員として、それは可能なのか、 可能とするといったいどのような手段で可能なのか、などなど、と。
*さらに彼女たちは、その「全員」と政治を結びつける。これはあくまで政治的なのだ、と。全員がすなわち政治的なのである。政治的言語が誕生した瞬間だ。 このような政治的言語を目の当たりにすることは、ここ数年、いやここ何年もなかったような気がする。それを彼女たちはたった二つのことを結びつけることで達成し、 周りに新たなコンクリフトと数えられぬものの政治的意味を喚起させたのだ。
*もちろん政権内部の事情によるタイミングの問題もあるだろう。またあまりにも早く決着がついたかのように見えているので、インパクトもその潜在的意義ほどには 気づかれないのかもしれない。もちろん、政治的であるがゆえにこの結果、手法、その実質をめぐってはさまざまな議論があろう。しかし、「全員」をめぐって言葉に 絶えてなかった政治的、不和の次元を切り開いたことは確かなのだ。(Y)



「ポリティカにっぽん 急転劇生んだ自民の奥行き 薬害肝炎の救済」 早野透
 それまであんなに会うのを拒んでいた福田康夫首相が急転、原告の女性たちに「心からおわびする」と謝った。裁判は和解打ち切りになりそうだったのに、 議員立法で「全員一律」の救済が実現する。このままでは福田が危ない! 薬害C型肝炎の政治劇からは、「官」の論理足をとられる福田政権を救い出すべく、 自民党ハト派がひそかに反転工作に乗り出した様相が見える。
 12月19日、首相官邸前。参院議員川田龍平は朝から日がとっぷり暮れるまで寒空の下にいた。「福田さんに会いたいと申し込んだ。時間がないと断られた。 でも原告の患者も時間がないんです」。少年時代、薬害エイズをカミングアウト、国と闘った川田は原告を支援する国会議員の先頭に立つ。
 民主党の菅直人、家西悟、共産党の紙智子、社民党の福島みずほ、辻本清美らが次々とかけつけて「一律救済」を求める演説をした。昨年7月の参院選で当選した ばかりの無所属議員なのに、身をもって薬害を告発する川田の存在の重さが野党結集の形をつくった。
 だが、翌20日、舛添要一厚生労働相が発表した政府の和解案は、額は増やしても「一律救済」ではなかった。「官」の論理は、つねに責任を回避するか、 責任の範囲を限定しようとする。国は責任を認めよ。なぜ原告とそれ以外の患者の扱いに差をつけるのか、原告の私たちが「一律救済なら一人ひとりの補償額を減額 してもいい」と言っているのに。「命の線引き」は受け入れられない。原告団は和解案を拒否した。それは「要求」というより、ひとつの「思想」というべきだろう。
 「美しい国」の安倍「イデオロギー」内閣が高飛びして、福田「低姿勢」内閣は50%を超える支持率で順調だった。しかし何を勘違いしたか、年金の記録照合の約束期限を 「公約違反と言うほど大げさなものか」と突き放す言い方をして30%の支持率に急降下した。このうえ彼女たち肝炎の原告を寒空に立たせたままでは、福田と人々の心は 通わなくなる。せっかく「共生」をうたったハト派政権をつくったのに。
 その20日の夜、都心のホテルで、ひとつの秘密の会合が開かれ、福田は表向き別の会合を装って参加した。呼びかけたのは福田と親しい衛藤征士郎、出席したのは野田毅、 谷垣禎一、さらに3人ほど。
 野田はこう発言したらしい。
 「私は原告たちに会った。私の出身の熊本の人がいるんだ。彼女たちが求めているのは金ではない。インターフェロンの治療もすごく苦しい。国が悪かったと 謝罪してもらいたいんだ。現行法の枠があるから裁判所も政府もできないというなら議員立法でやればいい」
 野田は中国残留孤児支援の議員立法に携わってきた、彼らは故国に帰っても貧しい暮らしを強いられている。国は彼らを中国に置き去りにしてきた責任をたなにあげて、 生活保護を受けるならあれもするなこれもするなと口やかましい。彼らが訴訟を起こしたのは、国の責任を認め、人間の尊厳を認めてほしいということだった。12月5日、 残留孤児は福田に会い、福田から「あなたがたも同じように幸せになる権利がある」と言われ、「晴れて日本人になれた」と涙ぐんだ。
 野田は、中国残留孤児も肝炎患者も思いは同じだと思った。「でも、肝炎患者を一律救済するとどれだけ広がるかわからないと心配の声もあってね。 役人の言うことばかり聞くなと言ったが、福田さんはまだ議員立法にうなずかなかった」
 翌21日、自民党の政策通、法務行政に強い与謝野馨前官房長官が首相官邸に理由を訪ね、ペーパーを準備して議員立法を進言した。
 「このままでは福田さんも自民党も終わりになる。1日考えて、福田さんに直接言おうと一人で考えを持っていった」
 福田の周辺は「おもちゃ箱をひっくり返すな」と難色のむきが強かったけれども、こんどは福田も心の準備ができていたのだろう、「私は官房長官のときハンセン病の 酵素断念を処理しましたからね」と言って決断した。与謝野の携帯を借りて福田は自民党政調会長の谷垣を呼び出した。与謝野は谷垣のもとに直行した。 そこに園田博之政調会長代理がいた。園田は熊本出身、水俣病の補償問題に腐心していた。谷垣の腹心の川崎二郎は元厚労相。谷垣、川崎、園田、与謝野のラインができた。 法務省が加わる。原告弁護団と連絡をとる。与謝野は「私はボランティアだから」といつのまにか姿を消した。
 23日の日曜日、突然、福田が記者団に「議員立法で一律救済をしたい」と語ったときには、すでにおおむねめどがついていた。
 なぜ、この急転劇が起きたか。原告団の考えと野党の結集がなければ起きなかった。第2に「内閣支持率が急落したことにつきるよ。もっと下がったら政権は危ない。 参院が与野党逆転して追い詰められているからね」という事情がある。
 だが、もうひとつ、自民党という政党の意外な懐の深さもある。いわゆる「自社さ」政権での水俣病、薬害エイズ、小泉政権のハンセン病、安倍、福田政権の 中国残留孤児。そこに携わった人脈がある。ぎりぎりのところで知恵を絞る。野党はあなどるなかれ、自民党政権が倒れそうで倒れなかったのは、このあたりに あったかもしれない。 (敬称略)

朝日新聞 2008年1月7日 東京朝刊




「風知草 薬害と与謝野馨の助太刀」 専門編集委員・山田孝男
 薬害C型肝炎被害者の政治救済が行き詰まった昨年末、自ら収拾策を示して事態を打開したのは前官房長官・与謝野馨だった。なぜ与謝野なのか。69歳、 当選9回の古参で経歴も多彩だが、いまは閣僚でも自民党三役でもない。首相と特に親しいわけでもない。総裁派閥・町村派とも疎遠な無派閥の与謝野がなぜ動いた のか。
 「私も次の選挙(衆院選)やろうって人間ですから、あんまり(内閣・自民党)支持率が下がっちゃ困るわけよ」
 当人は何食わぬ顔で冗談とも本気ともつかぬ心境を語る。訴訟原告団が政府の基金積み増し案を拒否して和解交渉が決裂したのが12月20日。推移を見守っていた 与謝野はパソコンで3項目のメモをまとめ、翌21日午後、官邸に乗り込んだ。
 (1)司法は法的義務の有無を判断する立場であり、行政は司法判断を越えられない。司法が国の責任を限定的にとらえている以上、一括救済を避けて基金を積み増した 政府案は、行政府としてはぎりぎりの線だ。
 (2)とはいえ、どの時期に投薬を受けたかは被害者の責任ではなく、一律一括救済を求める訴えは切実。一刻も早く被害者を訴訟当事者の立場から解放しなければ ならない。
 (3)かつてオウム真理教事件の被害者救済のため、法的根拠に欠ける施策を議員立法で実現したことがある。これを先例として自民党に検討を求め、国会に ゆだねてはどうか。
 以上、与謝野メモの要約である。(3)の議員立法は橋本内閣の官房副長官だった与謝野の経験を言っている。A4判1枚。素早く目を走らせた福田康夫はひとしきり、 官房長官として自らかかわったハンセン病国家賠償請求訴訟の控訴断念(01年5月)を話題にし、「これでいこう」と応じた。面談20分。「説明を始めてから総理の 決断まで5分もかからなかった」と与謝野は振り返る。
 その場で携帯電話を取り出した与謝野が自民党政調会長室の谷垣禎一を呼び出し、与謝野の携帯を受け取った福田が谷垣に議員立法を指示。官邸を辞して谷垣と合流 した与謝野は、政調会長代理・園田博之、公明党政調会長・斉藤鉄夫を交え、法務省、原告弁護団と折衝を重ねる。熊本選出の園田は水俣病未認定患者の補償・救済に かかわってきた。公明党は薬害肝炎の政治救済を強く求めてきた。福田が一律救済を発表(23日)、原告代表に謝罪(25日)し、議員立法骨子案がまとまる(28日) という流れだ。
 与謝野が動く直前、政府・与党は悲壮感に包まれていた。年金記録照合の公約違反と首相自身の「公約違反というほど大げさなものか」発言で内閣支持率が急落。 メディアが連日伝える薬害肝炎原告団の悲痛な訴えをくみ取れない「官僚の硬直と福田の無能」というイメージが広がっていた。
 官僚は一括救済による財政負担の際限ない拡大を警戒したが、それ以上に三権分立にこだわった。ハンセン病の場合は国が敗訴した判決に従ったまで。薬害肝炎では 国の責任を全面的に認める判決は出ていない。だから一括は無理−−。この抑制を官僚の硬直と見るか、誠実と見るか。「官僚は誠実だった。後は政治家が動くしかない」 と与謝野はいう。
 囲碁七段、頭脳明晰が看板の与謝野だが、一昨年、咽頭がんを発病、手術を経て復帰してからドスが利いてきた。助太刀で袋小路の政治を救った剣客の、次の仕事は 何だろう。(敬称略)=毎週月曜日掲載

毎日新聞 2008年1月7日 東京朝刊



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